2025年11月13日

英語って、一言で印象が変わる言語だなって思いませんか?たとえば、「彼は話した」だけだと淡々とした事実。でも「彼はとても静かに話した」と言うと、なんだかその場の雰囲気まで伝わってくる気がします。英語で言えば、He spoke very quietly. の “very quietly” の部分。ここに注目してみましょう。
この “very quietly” のように、副詞を中心に、それをさらに詳しく説明する語が加わってできた2語以上のまとまりを「副詞句(adverb phrase)」と呼びます。たとえば、She walked extremely carefully. なら、「carefully(注意深く)」という副詞を、「extremely(非常に)」が修飾している構造になります。このとき、“extremely” は「程度副詞」と呼ばれ、全体で「どれくらい注意深かったのか」というニュアンスを加えているわけです。
文法的には、“extremely” が “carefully” を包み込むように修飾していて、[extremely [carefully]] という構造をとります。この構造、つまり「程度副詞 → 副詞」という順番さえ押さえておけば、あなた自身でも自然な副詞句を作れるようになりますよ。
ここでちょっと大事な区別をしておきましょう。「副詞っぽい働きをする語句=副詞句」と思われがちですが、これは実は間違い。たとえば、He hid under the table. の “under the table” は「どこで隠れたか」という意味で副詞的な役割を果たしていますが、構造としては前置詞句です。同様に、They stayed home last night. の “last night” は名詞句ですが、やはり副詞的な意味を持っています。こういった表現は「副詞句」ではなく、「副詞的要素(adverbial)」と呼ぶのが正確です。機能は似ていても、構造はまったく別なんですね。
さて、副詞句にはさまざまな「意味の役割」があります。たとえば「方法(manner)」を表す副詞句なら、She walked extremely carefully. や He speaks unusually clearly. のように、「どのように」動作が行われたかを示します。シンプルな動作に、描写の深みを加えるイメージですね。
「頻度(frequency)」を表す副詞句では、They meet fairly regularly. や She visits very rarely. のように、どのくらいの間隔で行動が繰り返されるかを伝えます。「いつも」なのか「たまに」なのか、印象が変わります。
「確実性(certainty)」を表す表現には、They will almost certainly win. や It will quite possibly rain tomorrow. のような副詞句があります。未来への見通しや推測の度合いを伝えるのに便利です。
そして「程度(degree)」を示す副詞句としては、He’s driving incredibly fast. や She works very efficiently. のように、どれくらい速く、どれくらい効率的かという情報が加わります。ここは「強調」や「評価」に近い感覚もあり、使いこなすと文章に深みが出てきます。
「評価(evaluative)」を表す副詞句では、Quite frankly, I didn’t enjoy the movie. や Sadly, we missed the train. のように、話し手の気持ちや判断を前に出すことができます。これだけで、ただの事実が「自分の思い」として伝わるようになります。
ところで「視点(viewpoint)」を表す副詞句についてですが、実はこのカテゴリーにはあまり副詞句の例がありません。たとえば、Personally, I prefer coffee over tea. のような表現はよく見ますが、“personally” は単独の副詞であり、副詞句には該当しません。この点は混同しやすいので注意が必要です。
副詞句の構造にはパターンがあります。代表的なのは、「程度副詞 + 副詞」という順番で、たとえば very carefully, quite often, extremely fast などがこれにあたります。他にも、soon enough や long ago のような慣用的な表現もありますが、これらは副詞句というよりも「固定された言い回し」であり、生産的な文型とはやや異なります。学習の初期段階では、まずはシンプルで構造の明確な例から始めるのが無難です。
少し実験してみましょう。たとえば、She walked. という文を、She walked extremely carefully. に変えてみるとどうでしょう。ただ「歩いた」から、「めちゃくちゃ注意深く歩いた」に早変わりです。文そのものは同じでも、伝わる印象がまるで違いますよね。これが副詞句の力なんです。
ちなみに、よくある間違いの一つに She spoke very much quietly. という形がありますが、これは不自然です。正しくは She spoke very quietly.。”much” はこの場合には使わないんですね。こうした細かいところも、副詞句を学ぶ過程で自然に覚えていけます。
副詞句って、最初は少し取っつきにくく感じるかもしれません。でも、いくつかのパターンを知って、例文を見て、自分でも作ってみるうちに、どんどん自然に使えるようになってきます。焦らなくて大丈夫。大切なのは「使ってみよう」という気持ちです。
この記事は、英語を実践的に学びたい初中級レベルの方に向けて書いています。できるだけ分かりやすく、けれど内容は正確に。副詞句を理解することで、英語表現の幅は間違いなく広がります。これをきっかけに、「伝わる英語」をもっと自由に使えるようになるといいですね。