2025年7月7日

生徒のみなさん、こんにちは。
さあ、今日のテーマは…タイトルを見て「え、今さら?」って思った人、いるかもしれませんね。
でもね、それ、すごくもったいないんです。
扱うのは「不定冠詞」―― そう、“a” と “an”。
中1の最初の文法。でも、実は英語の本質がギュッと詰まってる超重要項目なんです。
「そんなのわかってるよ」って?これに答えてみて。
He has (a/an/×) good knowledge of history.
さて、あなたならどうします?
「a」って答えた人、多いかもしれません。
でも「え? knowledge って不可算名詞じゃないの?」って混乱した人も、けっこういると思うんですよ。
そう、そこが今回のポイント。
ただの“a / an”じゃない。文脈によって、名詞の性質って変わるんです。
“a / an”は、なぜ必要?
最初に戻りましょう。
「a / an」は、“一つの、でも聞き手にはまだ分からないもの”を紹介するときに使います。
例
I saw a cat in the garden.
A student came to see me.
これ、どうですか?
cat や student がどの猫・どの生徒か、相手にはまだわかってないですよね。
だから、「a」をつけてるわけです。これ、紹介のマーカーなんです。
ちなみに
- “a” は子音で始まる単語の前(a cat)
- “an” は母音で始まる単語の前(an apple)
ルールはシンプルです。間違える人はほとんどいません。
でも全部の名詞に “a” つけていいの?
これはどうかな?
I need a water.
うーん、なんかヘンですよね。
正しくは
I need water.
なぜかというと…“water” は数えられない名詞=不可算名詞(uncountable noun)だからです。
英語の名詞は大きく2つに分かれます:
- 可算名詞(countable)→ cat, idea, book
- 不可算名詞(uncountable)→ water, music, courage
“a / an” は、可算名詞の単数形にしか使えないんです。
名詞の見分け方、どうすれば?
ここ、困る人多いです。
「これは数えられるのか、数えられないのか?」
そんなときに役立つのが、辞書。
最近の辞書には [C](可算)と [U](不可算)のマークがついてます。
たとえば
- work
→ [U] 労働:Hard work pays off.
→ [C] 作品:This is an early work by Picasso.
えっ、同じ単語なのに?って思いますよね。
そうなんです。同じ単語でも、意味や文脈によって性質が変わるんです。
文脈で“可算⇄不可算”が変わる!?
そう、これが今日の山場です。
実は、名詞って「使い方」で性質が変わることがある。これは英語らしい感覚です。
例
I’d like water.(不可算)
Two waters, please.(可算)
→ “水” という物質は数えられないけど、「コップ1杯、2杯」という単位にすれば数えられる。
She has beauty.(U)
She is a beauty.(C)
→ 抽象的な美しさ → 1人の“美しい存在”としての countification。
I like chicken.(U:鶏肉)
I bought a chicken.(C:1羽の鶏)
ここまで来ると、英語は「意味単位で数える」言語だって気づきませんか?
可算か不可算か、迷ったらこの3ステップ
- 個別に数えられる? → 可算の可能性
- 量としてのまとまり? → 不可算の可能性
- 意味が変化してない? → 要チェック!
言葉の「意味単位」で見ることが大事。
「目に見えるかどうか」じゃなくて、「英語でどうとらえているか」。
練習してみよう!
次の文に正しい冠詞を入れてみてください。
- I need (a/an/×) advice.
- She gave me (a/an/×) useful advice.
- (A/An/×) knowledge is power.
- He has (a/an/×) good knowledge of history.
【答えと理由】
- × advice → 「助言」という意味の抽象名詞。不可算。
- × useful advice → 形容詞があっても不可算は不可算!
- × knowledge → 知識も不可算名詞。
- ⭕️ a good knowledge → 「歴史に関する一まとまりの知識」として数えられる。
補足 なんで 4 だけ “a” がつくの?
ここ、ちょっと深掘りしましょう。
“knowledge” そのものは不可算。でも、形容詞 “good” がつくことで、「あるまとまり」として認識されている。つまりこれは countified mass noun として扱われているんですね。
言語学的には、“知識という物質”ではなく、“知識の種類や質”を指している。
だから、数えられる概念として扱ってOKになるわけです。
文法は暗記じゃない、“世界のとらえ方”だ
今日はたかが冠詞、されど冠詞ということで、“a / an” の背後にある英語の思考のクセを見てきました。
英語って、「何をひとつのモノとしてとらえるか」でルールが変わるんです。
そこに気づけるようになると、英語の読み方も、書き方も、ガラッと変わってきます。
だから、ただ「覚える」んじゃなくて、「なぜそうなのか?」を考える習慣をつける。
その積み重ねが、確実にあなたの英語力を底上げしてくれます。