数学の壁“マイナス×マイナス”を突破せよ!試験で差がつく理由とは

数学の壁“マイナス×マイナス”を突破せよ!試験で差がつく理由とは

疑問から始めましょう

こんにちは。

「マイナス×マイナス=プラス」という計算ルールについて、しっかりと納得できていますか?

中学校では「ルールだから覚えてください」と教えられることも多いこの計算。しかし、「なぜそうなるのか?」という問いにしっかり答えられる人は、実はあまり多くありません。

本日はこの「−×−=+」という式が、どうして成り立つのかを、論理的な根拠と受験での実例を通して丁寧に解説していきます。

なぜ“負の数”が必要なのか

「負の数」とは何か。身近な例を挙げてみましょう。

・気温が0℃を下回るとき(−3℃など)
・銀行口座が赤字(−10,000円)
・借金などの「マイナスの所持金」

これらはすべて、「足りない」「逆方向の量」を表すために負の数が使われています。

数学的には、次のように定義されます。

→ 任意の数 a に対して、a + (−a) = 0

この「−a」は、aの加法の逆元(元に戻すための数)と呼ばれます。つまり、負の数はただの記号ではなく、“打ち消す操作”として定義された必要な数なのです。

「−×−=+」はなぜ正しいのか?

では、なぜマイナス×マイナスがプラスになるのでしょうか。直感では理解しづらい部分を、数学の原則から確認していきましょう。

次の等式を見てください。

  0 = (1 + (−1)) × (−1)

左辺は明らかに0です。右辺を分配法則に従って展開します。

  0 = 1×(−1) + (−1)×(−1)

ここで、1×(−1)=−1 と定義します。

  0 = −1 + (−1)×(−1)

この式を変形すると

  (−1)×(−1) = 1

つまり、「−×−=+」という計算は、分配法則を守るために自然に導かれるものなのです。

入試でよくある誤答例

次に、受験生がよく間違える実例を見てみましょう。

例題: −3x + 2 > 11

多くの受験生がこう変形してしまいます。

  −3x > 9 ⇒ x > −3 (誤り!)

ここでのミスは、「マイナスで割ったときに不等号の向きが変わる」というルールを見落としていることです。

正しい解き方は

  −3x > 9 ⇒ x < −3 (正解)

この誤答は、模試(例:河合塾 2023年共通テスト模試)でも15%程度の受験生が間違えると言われており、要注意のポイントです。

高校数学とのつながり

負の数の正しい理解は、高校数学のあらゆる分野で役立ちます。

二次関数:グラフの軸や頂点が負の値になるケース多数
三角関数
  sin(−θ) = −sinθ
  cos(−θ) = cosθ
→ 負の角度の計算を誤ると、解答が真逆になってしまいます。

「−」という記号は、単なるマークではなく、“逆の操作をせよ”という数学的命令と捉えるのが正しい理解です。

この視点で負の数を見直すことで、関数、グラフ、三角関数、ベクトルなど、あらゆる単元での符号ミスを減らし、数学全体の理解力も高まります。