アリストテレスが教える“本質を知る力”──自分らしく生きるヒント

アリストテレスが教える“本質を知る力”──自分らしく生きるヒント

自分らしさを見つけるために――本質を知るということ

自分らしさって、なんだろう?

この問いは、高校の進路面談のときに、担任の先生からふと投げかけられた言葉だった。そのとき、正直ちょっと困った。部活や勉強に追われながら、自分のことなんて深く考えたことがなかったからだ。

その後も何度か、この問いが頭に浮かぶ瞬間があった。自分は何が好きで、何が得意で、何を大切にしてるんだろう――。でも考えれば考えるほど、どれが「本当の自分」なのかわからなくなってくる。人と比べて落ち込んだり、「これが自分だ」と思ったことが実は誰かの真似だったと気づいたり。そんなふうに揺れてばかりだった。

アリストテレスは、「すべてのものには本質がある」と言った。外見や状況ではなく、そのものをそのものたらしめる、変わらない“核”のようなもの。それはきっと、人にもある。だけど、自分の本質って、一体どこにあるんだろう?

私にとって、それは「重ねていくうちに見えてくるもの」なのかもしれない。たとえば、好きなことに熱中してるときの感覚。逆に、何かに違和感を覚えたときの反応。そういう小さな心の動きの積み重ねが、少しずつ“自分らしさ”を輪郭づけてくれる。

アリストテレスが言うように、本質を知るには「なぜそうなのか」を問い続ける必要がある。自分自身にも、それをやってみる。
なぜこれが好きなんだろう?
なぜこの言葉に傷ついたんだろう?
問いはすぐに答えをくれない。でも、その問いを大切にすることで、自分の内側に耳を澄ますことができる。

今も、「これが自分の本質だ」と言い切れるわけじゃない。むしろ、日々の中で迷いながら、それでも何かに心を動かされる瞬間を少しずつ拾い集めている感じだ。

もしかしたら、「自分らしさ」って、完成された“正解”じゃないのかもしれない。変わっていくもの。深まっていくもの。そして、問いかけるたびに少しずつ輪郭が見えてくるもの。

それでも、そうやって問い続けることで、自分ともう少し丁寧につきあっていけたら――。それだけで、十分なんじゃないかと思う。