2025年9月5日

「もし〜だったら…」は妄想?それとも現実?
英語で“たられば”を語る文法の違い
授業中、生徒にこんなことを聞かれたことがあります。
「先生、If I’m hungry と If I were hungry って、どう違うんですか?」
「どっちも“お腹すいてる”って意味じゃないんですか?」
――ナイス質問です。
これは、英語が「現実」と「想像の世界」をちゃんと文法で区別しているからなんです。
英語には「現実を話す文法」と「現実とは違う話をする文法」がある
英語では、「現実の話」と「もしもの話」とで使う文法が変わります。
それぞれ、次のように呼ばれています。
まず、直説法(Indicative mood)。
これは、現実に起きていることをそのまま表す文法です。たとえば「今お腹がすいているから、何か食べる」といった、実際の出来事を語るときに使います。
一方、仮定法過去(Subjunctive mood)は、
現実とは違う“もしも”の世界を想像するための文法です。
「今はお腹すいてないけど、もしすいてたら食べるのにな〜」のように、実際には起きていない仮定の話をするときに使います。
たとえば「お腹がすいたら…」という話
たとえば、あなたが今、本当にお腹がすいているとしましょう。
そんなとき、英語ではこう言います。
If I’m hungry, I eat.
(お腹がすいたら、食べる)
これは、現実に起きていることをそのまま話している表現です。
「お腹がすいた → 食べる」という、実際の出来事の流れをそのまま言葉にしているんですね。
こうした現実の話を表すのが、英語の文法でいうところの「直説法(Indicative mood)」です。
では、今度はお腹がすいていないときの話をしてみましょう。
でも、「もしすいていたら、食べるのになあ」と想像する場面ってありますよね?
そんなとき、英語ではこう言います。
If I were hungry, I would eat.
(もしお腹がすいていたら、食べるのにな〜)
ここでのポイントは、実際にはお腹がすいていないということ。
でも、「そうだったらこうするのに」と現実とは違う仮の話をしているわけです。
このように、現実とは違う“もしもの世界”を表すときに使うのが「仮定法過去(Subjunctive mood)」です。
つまり…
- If I’m hungry, I eat.(直説法)
→ 実際にお腹がすいている現実の話
If I were hungry, I would eat.(仮定法過去)
→ 実際にはすいていないけれど、そうだったら…という空想の話
現実か空想かで文法が変わる
ここまで見てきたように、英語では「今の現実」を語るのか、それとも「現実とは違う想像の話」をするのかで、使う文法が変わります。
- 直説法(Indicative mood)
今起きていることをそのまま話す表現。
→ 「今そうなんだよ」という、現実に基づいた話。 - 仮定法過去(Subjunctive mood)
実際には起きていないけれど、「もしそうだったら…」と想像するときの表現。
→ 「今は違うけど、そうだったら…」という仮定や空想の話。
このように、英語は現実と空想を文法で明確に分ける言語なんですね。
それを意識すると、仮定法もグッと理解しやすくなりますよ。
一言で言うなら…
もしこの違いをざっくりまとめるなら、こんな感じになります。
- If I’m hungry…
→「今まさにお腹が鳴ってる」という、現実の話 - If I were hungry…
→「今は鳴ってないけど、鳴ってたらな〜」という、想像の話
こうやって、文の形から“気持ちの距離感”まで変わるのが英語の面白いところ。
仮定法過去は、ただの文法じゃなくて、想像力を言葉にするための表現なんです。
英語って、こういう“心の中の距離感”まで文法で表せるのが面白いところなんです。