2025年9月26日

「アリストテレスに学ぶ、“すべてのことには理由がある”という視点──世界を深く理解する鍵」
思い通りにいかない出来事に直面したとき、私たちはつい「なぜ?」と考えてしまう。なぜこんなことが起きたのか、どうしてあの人はあんなことを言ったのか──。その問いに、古代ギリシャの哲学者アリストテレスは、驚くほど現代的なヒントを残している。本記事では、「すべてのことには理由がある」という視点を通して、世界や自分自身とどう向き合うかを探っていく。
すべてのことには理由がある――世界を理解する鍵
「なんでこんなことが起こるんだろう?」
そうつぶやいたのは、何かうまくいかなかった日の夜。思い通りにいかないこと、納得できない出来事、説明のつかない出会いや別れ。そんなとき、無意識に「理由」を探そうとしている自分がいることに気づく。
アリストテレスは、「すべての事象には原因がある」と言った。そう聞いたとき、ちょっと安心した。世界にはバラバラに見える出来事にも、つながりや意味があるのかもしれない。そう思うことで、少しだけ心が落ち着いた。
でも一方で、「ほんとにそうなの?」という疑問もある。どう考えても不条理なことや、理由なんて見つかりようのない悲しみもある。全部に意味を見つけようとするのは、逆に苦しいときもある。
それでも、自分の中に湧いてくる「なぜ?」という問いは、なかなか消えてくれない。
アリストテレスは、「物事の理解には4つの原因がある」と言った。素材、形、動かす力、そして目的。最初は難しく感じたけれど、少しずつ腑に落ちてきた。
たとえば、誰かに傷つけられたとき、ただ怒って終わるのではなく、「なぜその人はそうしたのか」「自分はなぜあんなに反応したのか」と考えてみる。そうすることで、自分の価値観や相手の背景が少し見えてくることがある。
理由を探すというのは、答えを見つけることじゃなくて、「見方を増やすこと」なんじゃないかと思う。視野が少し広がるだけで、心の余裕も変わってくる。
もちろん、すべてのことに理由があるかどうかはわからない。わからないままのことも、たくさんある。でも、「きっと何かあるはず」と問いかけ続けること自体が、世界と向き合う姿勢なんじゃないかと最近は思う。
そうやって問いながら、自分の思い込みに気づいたり、誰かの立場を想像できるようになったりする。そのプロセスこそが、「理解する」ということなのかもしれない。
すべてのことには理由がある。
たとえ答えが見つからなくても、その問いの先に、新しい視点や自分との出会いが待っている気がする。