「to do」と「to be done」の違いを徹底解説!能動と受動の不定詞の使い分けとは?

「to do」と「to be done」の違いを徹底解説!能動と受動の不定詞の使い分けとは?

能動不定詞と受動不定詞の正しい使い分け方

英語の不定詞には、大きく分けて「能動形(to + 動詞の原形)」と「受動形(to be + 過去分詞)」の2つの形があります。この違いをしっかりと理解しておくことは、文法問題だけでなく、長文読解や英作文でも非常に役立ちます。

能動不定詞とは?

能動不定詞は、「to + 動詞の原形」という形で表され、主語がその動作を“自ら行う”場合に使います。言い換えると、動作の主体がはっきりしていて、その主体が実際に行動する場合にこの形を用いる、ということです。

たとえば次の文を見てみましょう。

 

I want to finish my homework before dinner.
(夕食前に宿題を終わらせたい。)

 

この場合、「宿題を終える」のは主語である “I” です。つまり、話し手自身がその動作を行おうとしているわけです。

もう一つ例を挙げます。

She promised to call me later.
(彼女は後で電話すると約束した。)

この文でも、電話をかけるのは “She” です。主語が「電話をする」行為の実行者になっているため、ここでも能動不定詞が使われています。

 

要するに、主語が自分で何かをする状況では、「to + 動詞の原形」が自然な選択になります。これは不定詞の基本的な用法のひとつであり、英文を正しく書くうえで欠かせない知識です。

受動不定詞とは?

受動不定詞は、「to be + 過去分詞」の形で、主語が“される側”に立つときに使われる表現です。つまり、その主語は動作を自ら行うのではなく、誰かによって何かをされる立場にあるということですね。

この形は、動作主を明らかにしない場合や、特に強調する必要がないときにもよく使われます。

たとえば、次の文を見てみましょう。

  • The children hope to be chosen for the team.
    (子どもたちはチームに選ばれたいと思っている。)
     

ここで選ぶのはコーチや指導者などの第三者ですが、その人物は明示されていません。主語 “The children” は、選ばれる立場にあるので、受動不定詞 “to be chosen” が使われています。

もう一つ例を挙げてみましょう。

  • This task needs to be completed by Monday.
    (この作業は月曜日までに終わらせる必要がある。)
     

この文でも、誰が作業を完了させるかは書かれていません。しかし、「完了されるべきこと」があるという点に焦点が当てられており、主語 “This task” は受動的な役割を担っています。

このように、受動不定詞は「主語が行為を受ける立場にあること」を示したいときや、「誰が行うか」をあえて曖昧にすることで全体の文意を柔らかくしたいときに、効果的な表現として使われます。

主語が「する側」か「される側」かを見極める

能動不定詞と受動不定詞のどちらを使えばよいかを判断するには、主語と動詞の関係に注目することがポイントです。つまり、主語がその動作を実際に“する”のか、それとも“される”のか。ほとんどのケースでは、この視点だけで適切な形が選べます。

たとえば、次の文を見てください。

  • She brought a chair to sit on.
    (彼女は座るための椅子を持ってきた。)
     

この文では、「座る」のは主語である “She” 自身です。動作を行うのが主語であるため、「to sit on」は能動不定詞となります。

では、次のような文ではどうでしょうか。

  • Chairs were arranged for guests to sit on.
    (客が座るために椅子が配置された。)
     

ここでは、「座る」のは明確にはされていませんが、「椅子をどう配置したか」という点が焦点になっており、座る側(客)は補足的な情報として扱われています。このような場合には、受動構文や目的のための for 句を使う方が自然です。

なお、「to be sat on」といった形も文法的には可能ですが、実際の英語では非常に不自然に聞こえるため、通常は避けられます。英語表現では、単に文法が正しいかどうかだけでなく、「実際に使われる自然な表現かどうか」も常に意識して選ぶことが大切です。

“There is / are” 構文における不定詞の使い分け

“There is / There are ~”という構文では、能動不定詞と受動不定詞のどちらも使うことができ、いずれも文法的には正しい形とされています。

たとえば、次の2つの文を比べてみましょう。

  • There is a lot of work to do. 
  • There is a lot of work to be done.
    (いずれも「やるべき仕事がたくさんある」という意味)
     

この2文は、基本的には同じ内容を伝えています。どちらも「仕事が存在している」という事実を表しており、厳密な意味の違いはありません。

ただし、文脈によっては、わずかなニュアンスの差が感じられることがあります。「to do」を使うと、話し手や聞き手がその仕事を“今から自分たちがやる”という意識がやや強く出る場合があります。一方、「to be done」は、仕事が“まだ終わっていない状態”であること、つまり「未処理の仕事が残っている」という事実そのものに焦点が当たることが多いです。

とはいえ、この違いはあくまで補助的なレベルのものであり、どちらかしか使えないということはありません。ほとんどの場面で相互に置き換えが可能です。選択する際は、状況や話し手の意図に応じて、より自然に聞こえる方を使うとよいでしょう。

例外や複雑なケースにも目を向けよう

これまでの説明では、「主語がその動作を行うのか、それとも受けるのか」という視点を中心に、能動不定詞と受動不定詞の使い分けについて解説してきました。この判断基準は基本的かつ有効なものですが、英語の不定詞にはそれだけでは説明しきれない、より複雑なパターンも存在します。

たとえば、不定詞が形容詞のように名詞を修飾する用法では、動作主が明示されないことが多くなります。

次のような文がその例です。

  • I have something to read.
    (読むべきものがある)
     
  • The book to be read is on the desk.
    (読まれるべき本が机の上にある)
     

どちらの文でも、「to read」や「to be read」が名詞(something / the book)を修飾していますが、誰が読むのかは文中では示されていません。このような場合は、文脈や常識に基づいて、動作主を自然に補う必要があります。

また、不定詞の意味上の主語が文中に現れないケースにも注意が必要です。

  • The decision to resign surprised everyone.
    (辞職するという決定は皆を驚かせた)
     

この文の「to resign(辞職する)」の主語は明示されていませんが、内容から考えて、決定を下した人物自身が辞職するのだと理解できます。このように、不定詞の動作主が明確に書かれないことは珍しくなく、読み手が意味を汲み取る必要があります。

ただし、動作主をはっきりさせたい場合には、「for + 名詞(意味上の主語)」を使って補足することができます。

  • It is important for students to review regularly.
    (学生にとって定期的に復習することは重要だ)
     

このように “for students” を加えることで、「誰が復習するのか」を明確に伝えることができます。

不定詞の用法にはさまざまな例外や応用的なパターンがありますが、そうした複雑なケースにも対応するには、単に形を覚えるだけでなく、文脈全体から意味を読み取る力が重要になります。基本的なルールを土台としつつ、柔軟に判断できるようになることを目指しましょう。

最後に

英語の不定詞には、大きく分けて2つの形があります。主語が動作を実際に行う場合に使う「能動不定詞(to + 動詞の原形)」と、主語がその動作を受ける立場にあるときに使う「受動不定詞(to be + 過去分詞)」です。

この使い分けを判断するうえで最も基本となるのは、主語と動詞の関係です。主語がその行為の実行者であれば能動不定詞を、逆に行為の対象である場合には受動不定詞を使うのが原則となります。

ただし、実際の英語表現では、この基本だけでは判断しきれない場面もあります。たとえば、動作主が文に書かれていなかったり、不定詞が名詞を修飾する形で使われていたりと、文法構造が複雑になることも少なくありません。

だからこそ、まずは能動か受動かを判断するための基本的な視点をしっかり身につけ、そのうえで徐々に応用的な使い方や例外に目を向けていくことが大切です。英語の文法は、一つのルールを足がかりにしながら、文脈や表現のバリエーションに柔軟に対応できる力を養っていくことが求められます。