現代文の入試問題と「正解」の二面性:書き手と出題者の資質が問われる

現代文の入試問題と「正解」の二面性:書き手と出題者の資質が問われる

現代文の入試問題における「正解」には、一般的に二つの側面が存在するとされています。一つは、日本語という言語そのものの規則に基づいた面であり、もう一つは、文章の背後に潜む筆者の意図や認識を理解する能力が求められる面です。

日本語の論理と読解能力
入試問題における正解の一面は、日本語という言語そのものが持つ論理(規則)によるものです。つまり、文法や語彙を適切に使用し、正確に日本語を読解する能力が必要とされています。この点で言えば、言語そのものの客観的な側面が評価されるわけです。

筆者の意図と認識
しかし、言語だけでなく、筆者の意図や背後にある認識も重要な要素とされています。この点において、入試問題を作成する際には「しっかりした書き手」の文章が選ばれるべきだとされています。何故なら、書き手が不確かな場合、問題そのものが成立しない可能性が高いからです。文章一つ一つは、一度書かれた後で発言者の意図から独立する性質があります。そのため、書き手の資質が問われるのです。

問題の質と書き手の資質
例えば、小林秀雄のような「しっかりした書き手」の作品がよく入試問題に採用されるのは、そのような作品が問題として成立しやすいからです。一方で、問題の素材そのものが不適切な場合、それが入試問題の質を下げる一因となり得ます。

「しっかりした」とは?
この「しっかりした」という表現についても考察が必要です。この資質は、個々の人が社会とどれだけ交流を持ち、日本人の平均的な認識(感性、知性を含む)に照らしてどれだけ理解しているかに基づきます。特定の趣味や嗜好に偏っていると、他人の気持ちや感情に対する理解が乏しくなる可能性があります。

時代の変遷と正解の変動
現代文の正解は時代の移り変わりと共に変わる可能性があると指摘されています。古文についても、古代の人々の認識を理解しないと、読解は困難です。

出題者の資質
最後に、現代文の入試問題を作成する出題者自身も、しっかりとした知性と感性を持つ必要があります。現代文は現在生きているこの国、この時代の社会的認識を反映していますから、出題者の資質が低いと、その影響は問題の質にも現れるでしょう。

概括
現代文の入試問題における「正解」は複雑な要素に影響を受けます。そして、それは書き手だけでなく、出題者の資質にも依存します。従って、しっかりとした資質を持つ書き手と出題者が揃って初めて、質の高い入試問題が作成されると言えるでしょう。