2024年12月20日
生徒: 数学的帰納法って何ですか?
先生: 数学的帰納法は、自然数に関する命題を証明するときによく使う方法だよ。最初はちょっと難しそうに思うかもしれないけど、例を使ってみると理解しやすくなると思うよ。
生徒: ぜひ例を交えて教えてください!
先生: もちろん!でもまずは、数学的帰納法の基本的な流れを説明するね。この方法は、大きく分けて2つのステップがあるんだ。「基底段階」と「帰納段階」っていうんだけど、聞いたことあるかな?
生徒: 名前は初めて聞きました。どういうものなんですか?
先生: 順番に説明していくね!まず「基底段階」について。簡単に言うと、これはスタート地点を確認する作業なんだ。たとえば n = 1 のときに命題が成り立つかを確かめるのが基底段階だよ。この最初の確認がしっかりしてないと、どんな証明も崩れちゃうから、すごく重要なステップなんだ。
生徒: あ、なるほど!最初の条件をしっかり押さえるんですね。
先生: そういうこと!次に「帰納段階」だね。ここはちょっとだけ難しい部分だけど、じっくり説明していくから安心してね。このステップでは、こう考えるんだ。「ある値 k で命題が正しいと仮定して、その次の値 k + 1 でも正しいことを証明する」。これが「帰納法の仮定」って呼ばれるんだ。
生徒: 難しそうですが、なんだか興味が湧いてきました!
先生: いいね!じゃあ、具体的な例を使って説明してみようか。たとえばこんな命題を考えるよ。
「すべての自然数 n に対して、n³ + 2n は 3 の倍数である」。
これを数学的帰納法で証明してみるよ。
基底段階
先生: まず、n = 1 の場合を確認するよ。このときの計算はこうなるね。
n³ + 2n = 1³ + 2×1 = 1 + 2 = 3
3 は明らかに 3 の倍数だね。だから基底段階はOK!
生徒: 本当ですね!最初の条件はクリアしてますね。
帰納段階
先生: 次は帰納段階に進もう。ここでは「帰納法の仮定」を使うよ。具体的には、次のように考えるんだ。
- 帰納法の仮定
n = k のとき、
k³ + 2k = 3m
(ここで m は何かの整数)と仮定する。
- 証明したいこと
n = k + 1 の場合でも命題が成り立つことを示す。つまり
(k + 1)³ + 2(k + 1)
が 3 の倍数であることを証明する。
先生: では、この式を展開してみよう。
(k + 1)³ + 2(k + 1) = k³ + 3k² + 3k + 1 + 2k + 2
これを2つの部分に分けて考えるよ。
- k³ + 2k
この部分は帰納法の仮定から 3 の倍数だね。
- 3k² + 3k + 3
この部分を見てみると、こう書けるね
3k² + 3k + 3 = 3(k² + k + 1)
ここでも 3 の倍数になっているよ。
だから、全体の式も 3 の倍数になることがわかったね!
生徒: すごい!確かに次の値でも 3 の倍数になってます。
先生: これで「基底段階」と「帰納段階」の両方をクリアしたから、「すべての自然数 n に対して、n³ + 2n は 3 の倍数である」という命題が正しいことが証明できたよ。
生徒: わかりやすかったです!数学的帰納法、ちょっと好きになりました!
先生: よかった!この方法はもっといろんな場面で使えるから、次は少しレベルアップした問題に挑戦してみようね。