交換法則と結合法則の正体|暗算が劇的に速くなる「計算の工夫」と、中学数学への本質講義

交換法則と結合法則の正体|暗算が劇的に速くなる「計算の工夫」と、中学数学への本質講義


YBA数学コラム | 計算の技術

交換法則と結合法則
——計算を「楽な形」に作り変える2つの技

対象:小学生〜中学生 / テーマ:正負の数・文字式・暗算の工夫


暗算が苦手な人は、計算が遅いのではなく、順番を変えていないだけかもしれません。

多くの人は、算数・数学の計算は「左から順番に解くもの」だと思っています。しかし実際には、足し算と掛け算には「順番を入れ替えてもOK」「どこから計算してもOK」という2つのルールが備わっており、これを使うだけで、手ごわい暗算が一瞬で片づきます。
正確には「左から解く」ことは間違いではありません。ただ、それだけが正解でもないのです。小学生から中学生まで、段階を追って丁寧に解説します。

1|交換法則・結合法則とは何か

まず、それぞれの法則を一言で整理しましょう。ふつうの数の足し算・掛け算では、次のルールが成り立ちます。

🔄 交換法則(こうかんほうそく)🔗 結合法則(けつごうほうそく)
「順番を入れ替えても答えは同じ」
a+b = b+a
a×b = b×a
「どこから先に計算しても答えは同じ」
(a+b)+c = a+(b+c)
(a×b)×c = a×(b×c)
例:3+5 = 5+3 = 8
2×6 = 6×2 = 12
例:(2+3)+4 = 2+(3+4) = 9
(2×3)×4 = 2×(3×4) = 24

⚠️ 引き算・割り算の場合
そのままの引き算・割り算では成り立ちません(5−3 と 3−5 は答えが違います)。
ただし、中学数学以降では引き算を「負の数を足す」と読み替えることで、足し算のルールとして使えるようになります。くわしくは セクション3 で解説します。

▶ 計算例で確認する

🔄 交換法則の確認

3 + 5 = 8
5 + 3 = 8 ← 入れ替えても同じ
2 × 6 = 12
6 × 2 = 12 ← 入れ替えても同じ

🔗 結合法則の確認

(2+3)+4 = 5+4 = 9
2+(3+4) = 2+7 = 9 ← カッコを変えても同じ

順番は変えずに、どこで区切って先に計算するかを変えるルール。

2|小学生で使える!計算が楽になる実例

2つの法則を組み合わせると、一見ハードに見える暗算が一瞬で解けます。

【足し算の例】38 + 17 + 62

🔄 交換法則17 と 62 を入れ替えて 38 + 62 + 17 にする。
🔗 結合法則(38 + 62)を先に計算 → 100
◎ 答え100 + 17 = 117

【掛け算の例】25 × 7 × 4 を暗算で解け

❶ 普通に解くと…25×7=175、次に 175×4=… 筆算が必要で大変。
🔄 交換法則7 と 4 の位置を入れ替えて、25 × 4 × 7 にする。
🔗 結合法則(25 × 4) を先に計算して、100 を作る。
◎ 答え25 × 4 = 100 → 100 × 7 = 700

ポイント:「10 や 100 などキリのよい数を自分で作る」ことが、この2つの法則の最大の使い道です。

3|中学数学での使い方

中学数学ではマイナス(負の数)文字式が登場します。
引き算を「マイナスの数を足す」と読み替えることで、小学校で学んだ交換・結合の法則がそのまま使えます。

① 正負の数(マイナスの数)

🔄🔗 交換+結合の組み合わせ①🔄🔗 交換+結合の組み合わせ②
問題:−3 + 9 + 3
🔄 交換法則で −3 と 9 を入れ替え
9 + (−3) + 3
🔗 結合法則で (−3)+3 をカッコでまとめる
9 + 〔(−3)+3〕
(−3)+3 = 0 で消えて、答えは 9
問題:−18 + 7 − 2
まず −2 を +(−2) と見る。
🔄 交換法則で 7 と (−2) を入れ替え
−18 + (−2) + 7
🔗 結合法則で −18+(−2) をまとめる
〔−18+(−2)〕+ 7 = −20 + 7
答えは −13

◎ 鉄則:符号は数字とセットで動かす
−2 を移動するときは「−」も必ず一緒に連れていきます。符号を置き去りにすると計算が崩れます。第1問の +14 を動かすときも、「プラス」ごとセットで移動していることを意識しましょう。

② 文字式

🔄 交換法則で「仲間を集める」🔗 結合法則で「係数をまとめる」
問題:3x + 5 + 2x + (−1)
−1 は +(−1) と見て符号ごと動かす。
🔄 入れ替えて
3x + 2x + 5 + (−1)
x の仲間:3x+2x = 5x(同類項の整理)
数字の仲間:5+(−1) = 4
答え:5x + 4
問題:2 × (3x)
3x は 3×x の省略なので、実は 2×(3×x)。
🔗 カッコの位置を変えて
(2 × 3) × x
数字同士を先にまとめると
答え:6x

◎ 補足:3x+2x=5x になる理由
交換法則で同じ仲間を隣に集めた後、同類項の整理(x がついた項をまとめる計算)を行っています。交換法則だけで 5x になるわけではなく、「集める→まとめる」の2ステップになっていることを覚えておきましょう。

4|確認テスト(3問)

学んだことを確認しましょう。答えを見る前に、まず自分で考えてみることが大切です。

第1問次の計算を、技を使って楽に解いてください。
−14 + 9 + 14
ヒント:プラスとマイナスで同じ数字のペアを探してみよう。符号ごとセットで動かすのを忘れずに。
第2問次の計算を、暗算で一瞬で解いてください。
−4 × 19 × 25
ヒント:掛けてピッタリ −100 になるペアを先に計算しよう。−4 も「マイナス付きの数」としてひとまとまりで見る。
第3問交換法則で同じ仲間を集め、同類項を整理して答えを出してください。
5x − 3 + 2x + 8
ヒント:−3 は +(−3) と見て、符号ごと動かそう。

▶ 解答と解説を見る(クリックで開く)
第1問
9
🔄 交換法則で +14 を符号ごと動かして −14 + 14 + 9 にする。
🔗 結合法則で (−14+14) を先に計算 → 0
残った 9 がそのまま答え。
第2問
−1900
🔄 交換法則で 19 と 25 を入れ替えて −4 × 25 × 19 にする。
🔗 結合法則で (−4 × 25) = −100 を先に計算。(−4 はマイナスごとひとまとまり)
−100 × 19 = −1900
第3問
7x + 5
−3 を +(−3) と見て、🔄 交換法則で並び替え → 5x + 2x + 8 +(−3)
同類項の整理:5x+2x = 7x、8+(−3) = 5
答え:7x + 5

5|まとめ

法則できること使いどころ
🔄 交換法則順番を入れ替えるキリのよい数のペアを近づける。同類項を隣に並べる。
🔗 結合法則計算する場所を変える近づけたペアを先にまとめる。数字同士を先に掛ける。

◆ この2つの法則が「使える」状態になると…

  • 複雑な暗算を、自分で「楽な形」に作り変えられる
  • 中学数学の同類項の整理が、意識せずスムーズにできる
  • 高校以降の多くの代数計算でも、同じ発想が土台になる

数学の計算は「ルールをただ覚える」のではなく、「なぜ変えてもよいのか」を理解することが力になります。今回の交換法則・結合法則は、その出発点です。

次に手ごわい暗算に出会ったとき、あなたはどこで順番を入れ替え、どこをキリのよい数にするでしょうか。


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