2023年8月28日

『和泉式部日記』は平安時代の中期、女流歌人・和泉式部が著した日記文学です。彼女の生涯や恋愛、日常の風景や感情が綴られており、この中で繊細に描かれる心情が高く評価されています。
「夢よりもはかなき世の中を、嘆きわびつつ明かし暮らす」
現代語訳:
「夢よりも現実の世界がはかない。そんなはかなさを感じながら、日々を過ごしている。」
文の背景
和泉式部は、多くの恋愛経験を通じて様々な感情や心の葛藤を経験しています。この文は彼女が恋愛の苦しみや世の中の移ろいやすさ、人生のはかなさを痛感する中での心情を表していると考えられます。
古典文法のポイント
1.「夢よりもはかなき」:「よりも」は比較を表す助詞。夢と現実を比較して、現実の方が夢以上にはかないと感じる心情を表現しています。
2.「嘆きわびつつ」:「つつ」は進行・継続の助動詞。彼女が日々、嘆き悲しんでいる状態を示しています。
3.「明かし暮らす」:「明かし」と「暮らす」はそれぞれ夜と昼を指しており、日夜の意味で使われています。彼女が昼夜問わず、その感情を持ち続けていることを示す表現です。
まとめ
『和泉式部日記』のこの一節は、和泉式部自身の恋愛経験や人生の哲学を表現していると言えるでしょう。古典文法の知識を用いて、文の意味を深く理解することで、彼女の深い心情や平安時代の女性の感性に触れることができます。