ド・モルガンの法則とは?覚え方と「かつ・または」が反転する理由を完全図解

ド・モルガンの法則とは?覚え方と「かつ・または」が反転する理由を完全図解






ド・モルガンの法則とは?集合と論理をつなぐ魔法の公式 | YBA教育研究会

数学A|集合と論理

ド・モルガンの法則とは?
集合と論理をつなぐ”反転”の公式

「〜でない」をひっくり返すと何が起こるか。
ド・モルガンの法則を理解すれば、集合も論理も一気にクリアになる。

📋 この記事の内容

  1. ド・モルガンの法則とは何か
  2. 集合での公式(ベン図で確認)
  3. 論理での公式(「かつ」「または」の反転)
  4. 直感で覚えるコツ
  5. 入試によく出るパターン
  6. 《深掘り》なぜ「かつ」が「または」に変わるのか

1. ド・モルガンの法則とは

ド・モルガンの法則(De Morgan’s laws)とは、19世紀のイギリスの数学者・論理学者オーガスタス・ド・モルガン(Augustus De Morgan)が体系化した、集合と論理に関する基本法則です。

💡 ひと言で言うと?

AかつB」の否定は「AでないまたはBでない」になり、
AまたはB」の否定は「AでなくかつBでない」になる、という法則です。

高校数学A「集合と命題」で必須の公式であり、情報科学・プログラミング・電気回路など幅広い分野でも使われます。

2. 集合でのド・モルガンの法則

公式(集合)

法則①

A ∩ B = AB

「A∩Bの補集合」=「Aの補集合 ∪ Bの補集合」

法則②

A ∪ B = AB

「A∪Bの補集合」=「Aの補集合 ∩ Bの補集合」

ベン図で確認しよう

🔵 = 該当する領域(色付き) ⚪ = 該当しない領域(白)

法則① : A ∩ B = AB

A
のみ

A∩B
(白)

B
のみ

+ 外側(青)

A ∩ B

(中心の∩以外すべて青)

=

Ā
のみ
A∩B
(白)

のみ

+ 外側(青)

AB

(← 同じ領域!)

法則② : A ∪ B = AB

A
(白)
A∩B
(白)
B
(白)

外側のみ青 🔵

A ∪ B

(A∪Bの外側だけ青)

=

A
(白)
A∩B
(白)
B
(白)

外側のみ青 🔵

AB

(← 同じ領域!)

具体例で確かめる

例題

全体集合 U = {1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10}
A = {2, 4, 6, 8, 10}(偶数)
B = {3, 6, 9}(3の倍数)

A ∩ B = {6} (偶数かつ3の倍数)

A ∩ B = {1, 2, 3, 4, 5, 7, 8, 9, 10}

A = {1, 3, 5, 7, 9}  |  B = {1, 2, 4, 5, 7, 8, 10}

AB = {1, 2, 3, 4, 5, 7, 8, 9, 10} ✓ (一致!)

3. 論理でのド・モルガンの法則

集合の公式を「命題(命題論理)」の言葉に置き換えると、次のようになります。

公式(論理)

法則①

¬(p ∧ q) ≡ (¬p) ∨ (¬q)

「pかつq」の否定
=「pでない または qでない」

法則②

¬(p ∨ q) ≡ (¬p) ∧ (¬q)

「pまたはq」の否定
=「pでない かつ qでない」

集合 ↔ 論理の対応表

集合の言葉論理の言葉記号
積集合(A ∩ B)かつ(AND)p ∧ q
和集合(A ∪ B)または(OR)p ∨ q
補集合(Aでない(NOT)¬p

日本語の例で理解する

「彼は数学が好きで、かつ英語も好き」の否定は?

✗ 誤りやすい答え:「彼は数学が好きでなく、かつ英語も好きでない」

✓ 正しい答え:「彼は数学が好きでない、または英語が好きでない」

「かつ」の否定は「または」に変わる点がポイントです。
どちらか一方でも「好きでない」が成立すれば、元の文は否定されます。

4. 直感で覚えるコツ

🔄

「否定」で∩と∪が入れ替わる

補集合をとる( をつける)と、∩と∪が必ず入れ替わる。これだけ!

「かつ」↔「または」の交換則

論理なら「¬(かつ)=(でない)または(でない)」。
否定するたびに∧と∨が入れ替わる。

🧲

「分配」と逆のイメージ

否定を「中に入れる」と、∩→∪・∪→∩になる。掛け算の分配則と対比して覚えよう。

🎯 語呂で覚えるなら

集合を取ったら、記号が逆になる
∩ → ∪、∪ → ∩、かつ → または、または → かつ

5. 入試によく出るパターン

📝 頻出パターン① | 否定の構成

「x ≧ 1 かつ y ≧ 1」の否定を求めよ。

p:x ≧ 1  q:y ≧ 1 として…

¬(p ∧ q) = ¬p ∨ ¬q

∴ 「x < 1 または y < 1」 ← 「かつ」が「または」に変化!

📝 頻出パターン② | 命題の対偶

「x = 0 または y = 0 ならば xy = 0」の対偶は?

対偶:「xy ≠ 0 ならば ¬(x = 0 または y = 0)」

ド・モルガン適用:¬(x=0 ∨ y=0) = (x≠0) ∧ (y≠0)

∴「xy ≠ 0 ならば x ≠ 0 かつ y ≠ 0」

📝 頻出パターン③ | 集合の要素の個数

n(AB) を求める問題

ド・モルガンの法則より:

AB = A ∪ B

つまり「Aにも属さず、Bにも属さない要素」の個数は、
「A ∪ B の補集合の要素数」= n(U) − n(A ∪ B) として求められる。

《深掘り》なぜ「かつ」が「または」に変わるのか

ここが最大のつまずきポイント。まず「間違った直感」を見てほしい。

❓ 問題:次の命題の否定は?

「今日は雨が降っていて、かつ風も強い

よくある間違い

「今日は雨が降っていなくて、かつ風も強くない

→ 「両方をひっくり返せばいい」という直感。これは間違い。

正しい答え

「今日は雨が降っていないまたは風が強くない

→ どちらか一方でも当てはまれば、元の文は否定される。

では、なぜ「または」になるのか?

かつ(AND)」は、両方が成り立つときだけ真になる、非常に厳しい条件です。
逆に言えば、「かつ」を偽にする(否定する)には、どちらか一方が崩れれば十分です。

🔗 「鎖」のイメージで考える

「雨が降っている かつ 風が強い」は、2つのリングがつながった鎖のようなもの。
この鎖を切るには、どちらか1本のリングを外せばいい

雨が降っている
風が強い

↓ 否定する(鎖を切る)
「雨が降っていない」または「風が強くない」
(どちらか一方が切れれば、鎖はバラバラになる)

もう1例:「または」を否定する場合

「彼は数学が得意、または英語が得意」の否定は?

「彼は数学が得意でない、または英語が得意でない」

「彼は数学が得意でない、かつ英語も得意でない」

「または」はどちらか一方でも成り立てば真。これを否定するには両方とも崩さないといけない
だから否定は「かつ」になる。

「かつ」は厳しい条件 → 崩すには一方だけで十分 → 否定は「または」
「または」はゆるい条件 → 崩すには両方崩す必要 → 否定は「かつ」

まとめ:ド・モルガンの法則

補集合をとると「∩」と「∪」が入れ替わる

論理では「かつ(∧)」の否定は「または(∨)」、「または(∨)」の否定は「かつ(∧)」

入試では「否定命題の作成」「対偶の構成」「n(AB)の計算」などで頻出

集合と論理の対応(∩↔∧、∪↔∨、補集合↔否定)を押さえれば両方に使える

YBA教育研究会 | 数学コラム