カラーから紙へ:物語が紡ぐ不思議な変身

カラーから紙へ:物語が紡ぐ不思議な変身

文章

「そして、カラーはそのとおりになりました。ほかのぼろたちも、みんな白い紙になりました。

 ところが、カラーのなった白い紙というのが、どうでしょう。いま、わたしたちが見ている白い紙、このお話の印刷されている、白い紙なんです。というのも、カラーは、あとになって、ありもしないことまで、とんでもないほらをふいたからなんです。

 わたしたちは、このことをよくおぼえておいて、そんなことをしないように、気をつけましょう。なぜならばですよ、このわたしたちにしたって、いつかは、ぼろ箱の中にはいって、白い紙にされないともかぎりませんからね。それも、自分の話を、ごくごくないしょのことまでも印刷されて、あっちこっち話しまわらなければならないともかぎらないんですから。ちょうど、このカラーのようにですよ。」

解説

この話の最後には、深い教訓が含まれています。カラーっていうのが、最後には白い紙に変わってしまうのだけど、その紙が実はこのお話が書かれている紙だってことがわかります。これって、カラーが生きている間に話した嘘や大げさな話が、ずっと後まで残るっていう意味なんですよ。私たちが何を言ったりしたりするか、それが未来にどんな影響を与えるか、どうやって覚えられるか、ってことを考えさせてくれます。

それから、「私たちもいつかはぼろ箱に入って、白い紙にされるかもしれない」っていう部分は、私たちがすることや言うことが、いつか誰かに伝えられるかもしれないって警告しています。私たちの行動がどう伝わるか、どう思い出されるか、真剣に考えなきゃいけないってメッセージがこめられています。アンデルセンはこの話で、とっても大切な教えを伝えてくれています。