2025年9月22日

受動不定詞ってなんだ?使い分けのコツは“文脈”にあり!
英語の “to + 動詞” には、実は2種類あるってご存じですか?
ひとつは「能動不定詞(to + 動詞の原形)」、もうひとつが今回の主役、「受動不定詞(to be + 過去分詞)」です。
名前だけ見ると難しそうに思えるかもしれませんが、ポイントはシンプル。
“その動作を誰がやるのか、それともされるのか?” たったこれだけなんです。
とはいえ、不定詞は文の中でいろいろな役割を持つため、表面の形だけで判断すると間違いやすいのも事実。
この記事では、英語の構文と文脈をしっかり押さえながら、「受動不定詞って、どんなときに使うの?」を一つひとつ分かりやすく整理していきます。
ちょっとでも「to be 過去分詞」に迷ったことがあるなら、ぜひ最後まで読んでみてください!
受動不定詞ってどんな形?
英語の不定詞には、ふつうの「to + 動詞の原形」だけじゃなく、「受け身」の形もあるんです。それが「to be + 過去分詞」で表される 受動不定詞。
たとえば、「to be chosen(選ばれること)」や「to be seen(見られること)」のように、誰かから何か“される”側を表すのが特徴です。
この形は、名詞や主語と一緒に使って、「それが何をされるものなのか」を伝えるときに便利です。
つまり、「この仕事は誰かにやられるものだよ」とか、「この本は読まれるためにあるんだよ」といったニュアンスですね。
ちょっとかたい名前ですが、使い方がわかれば案外シンプルです!
受動不定詞の使い方と「される側」の見極め方
受動不定詞(to be + 過去分詞)が使えるかどうかは、実はその文の“構文=役割”によって変わってきます。
今回は、「名詞的用法」「副詞的用法」「形容詞的用法」という3つの使われ方に分けて、どんなときに受動形がふさわしいのかを見ていきましょう。
● 名詞的用法:主語が“される側”なら受動形
これは、「to不定詞」が主語や目的語になるパターン。
このとき、主語がその動作を“される”立場なら、受動不定詞が登場します。
たとえば、
He hopes to be accepted into the program.
(彼はそのプログラムに受け入れられることを望んでいる)
ここでは、「accept(受け入れる)」という動作をするのは他者で、「He」は“される側”なので、to be accepted が自然な表現です。
● 副詞的用法:目的や理由を表すときにも
不定詞が「なぜ?」や「何のために?」を説明するような文では、副詞的用法になります。
基本的には、主語が自分で何かする場合は能動形になりますが、目的が「何かをされること」であるなら、受動形も使えます。
たとえば、
She trained hard to be selected for the national team.
(彼女は代表チームに選ばれるために一生懸命トレーニングした)
ここでは、「選ぶ」動作をするのはチーム側で、「She」は選ばれる側。だから、to be selected が正解。
ただし、このタイプの受動不定詞はそこまで頻繁には出てこないので、「例外的な使い方」として覚えておくといいでしょう。
● 形容詞的用法:修飾する名詞と“される関係”があるか
不定詞が名詞を説明している場合(形容詞的用法)は、誰がその動作をするのかがはっきり書かれないこともよくあります。
こういうときは、文脈から判断する力が試されます。
たとえば、
I have work to do.(やるべき仕事がある)
→ この場合、「work」は話し手がするものなので能動不定詞。
There is work to be done.(終わらせるべき仕事がある)
→ 誰がやるのか明記されていませんが、「されるべき仕事」というニュアンスを含むため受動形になります。
さらに、
This is a task to be completed by tomorrow.
(これは明日までに完了させるべきタスクです)
という表現もありますが、実際の英語では
This task needs to be completed by tomorrow.
のように言い換えた方がより自然に聞こえます。
意味は受け身、でも形は“能動”?ちょっと特殊なルール
英語にはちょっと変わった構文があります。それが「tough構文」と呼ばれるもの。
一見ふつうの「形容詞 + to不定詞」の形ですが、文の意味は受動的なのに、形は能動不定詞を使うという、ちょっとややこしいルールです。
たとえば、
This book is easy to read.
(この本は読みやすい)
この文で「読む」のは本じゃなくて、読む人=話し手や読み手ですよね?
でも、”to read” という能動形が使われています。
「to be read」ではないんです。
実は、tough構文では「本が読まれる」=意味的には受け身なんですが、
文法上は「to + 動詞の原形」=能動形を使うのが原則。
なので、
❌ This book is easy to be read.
という文は、文法的には間違いではないかもしれませんが、
英語としてはものすごく不自然。ネイティブはまず使いません。
この構文は、他にもこんなふうに使えます。
- This machine is difficult to operate.(この機械は操作が難しい)
- That problem was hard to solve.(その問題は解くのが難しかった)
どれも、「主語がされる立場」なのに、不定詞はあくまで能動形です。
なぜかというと、tough構文では 意味上の主語=不定詞の目的語になる存在 が、文の主語として前に出てくるからなんです。
ちょっと例外的でややこしいですが、「形よりも“自然な英語”かどうか」を判断材料にするのがコツです。
tough構文を見つけたら、「あ、ここは“意味は受け身、でも能動形”なんだな」と覚えておきましょう。
「for + 名詞」で“誰がやるのか”をはっきりさせよう
英語の不定詞って、たまに「これ、誰がやるの?」って思うことありませんか?
特に、不定詞の動作主が文の主語と違うとき、誰がその動作をするのかがわかりにくくなることがあります。
そんなときに便利なのが、「for + 名詞」という形。
これを使えば、不定詞の意味上の主語(=動作主)をちゃんと明示できます。
たとえば、こんな文を見てみましょう。
It is important for students to be evaluated fairly.
(学生が公平に評価されることは重要だ)
この文の主語は “It”(形式主語)ですが、
実際に「評価される」のは誰かというと、「for students」の “students” です。
つまり、「誰が評価されるのか?」という点をしっかり伝えるために、for + 名詞が必要なんです。
この表現は、特に 「It is 形容詞 to …」 という構文でよく使われます。
- It is necessary for all members to attend the meeting.
(すべてのメンバーが会議に出席することが必要です) - It’s hard for me to believe that.
(それを信じるのは私には難しい)
「for + 名詞」があるだけで、“誰にとっての行動か”や“誰がその行為を受けるのか”がグッとわかりやすくなります。
文の意味を正確に伝えたいときには、ぜひ積極的に使っていきましょう!
どっちを使う?受動不定詞の判断ポイント3つ
「to + 動詞」って、受動形にすべき?それともそのままでいいの?
そんなふうに迷ったときに使える、受動不定詞のチェックポイントを3つ紹介します。
① 主語は“される側”か?
まず注目すべきは、主語がその動作を受ける立場かどうかです。
たとえば
He hopes to be chosen.
(彼は選ばれることを望んでいる)
この文では、「選ばれる」のは主語の “He”。
だから「to be chosen」という受動形の不定詞がピッタリです。
② 修飾される名詞が“受け手”か?
不定詞が名詞を修飾しているときは、その名詞が行為を“受ける”ものかどうかを見てみましょう。
There is work to be done.
(やるべき仕事がある)
ここでの「work(仕事)」は、「done(終えられる)」という行為の対象。
だから「to be done」という受動不定詞が自然なんですね。
③ tough構文じゃない?
最後にチェックしたいのが、tough構文かどうか。
This book is easy to read.
(この本は読みやすい)
ここで「読まれる」のは本=主語。だから意味は受動っぽいですよね?
でも英語では「to be read」じゃなくて、「to read」=能動形が使われるんです。
これが tough構文のルール。
この3つのポイントを覚えておくだけで、「あ、ここは受動不定詞を使うべきだな」「いや、能動形でいいな」と判断しやすくなります。
迷ったら、まずは 「誰が何をするのか/されるのか」 を見てみましょう。それが不定詞選びの第一歩です。
受動不定詞を選ぶカギは「文の形」と「意味」
ここまで見てきたように、受動不定詞を使うかどうかの判断は、単に文法的に正しいかどうかだけでは決まりません。
「誰がその動作をするのか」「何がされるのか」「どんな場面で使われているのか」といった、文全体の構造や意味、そして文脈がとても大切になります。
この記事では、以下のようなポイントを整理してきました。
- 「to be + 過去分詞」という受動不定詞の基本形
- 名詞的・副詞的・形容詞的用法ごとの動作主との関係
- 意味は受動でも能動形を使う「tough構文」
- 動作主を明確にする「for + 名詞」の使い方
- 実用的なチェックリストによる判断方法
英語では、必ずしも文法書通りに使われるとは限らず、ネイティブが「自然に感じるかどうか」が非常に大きなポイントです。
つまり、文法のルールを知ったうえで、「この場面ではどっちがしっくりくるか?」という感覚を磨いていくことも同じくらい大切なのです。
形式にとらわれすぎず、文の意味と目的に合った表現を選ぶ力を育てていくことで、より伝わる英語・より自然な英語が使えるようになります。
学んだ知識を、実際の英文や英会話の中でどんどん使っていきましょう!