2024年11月29日
生徒:
「この前ジョン・ロックって人のことを調べたんですけど、『悟性』って言葉が出てきたんです。でも、何のことかよくわからなくて…。教えてもらえますか?」
先生:
「いいところに気づいたね。『悟性』って、たしかにちょっと聞き慣れない言葉だよね。でも簡単に言うと、何かを理解する力のことなんだ。たとえば、目の前にある問題について『これってどういうことなんだろう?』って考えるような力だね。」
生徒:
「えっと、それって推理するときの力とか、考える力みたいなものってことですか?」
先生:
「うん、似てるところもあるけど、実はちょっと違うんだよね。推理する力は、たとえば筋道を立てて考えたり、答えを導き出したりする『理性』に近いものなんだ。それに対して『悟性』は、もっと広い意味があるんだよ。」
生徒:
「広い意味…ですか?」
先生:
「そう。たとえば、直感的に何かを理解する力とか、全体の流れをつかむ力も含まれているんだ。だから、『考える力』っていうより、物事を理解する土台になる力だと思うとわかりやすいかもね。」
生徒:
「ああ、そういうことなんですね!でも、ジョン・ロックって、その『悟性』について何か例え話とか使って説明してますか?」
先生:
「うん、いいよ。ロックは『船乗りとロープ』っていう例えを出しているよ。ちょっとイメージしてみてほしいんだけど、船乗りが海の深さを測るためにロープを垂らす場面を想像してみて。」
生徒:
「船乗りがロープで深さを測る…ってことですか?」
先生:
「そう。ロープには長さの限界があるよね。でも、船乗りにとっては、海の深さを全部測れなくても、自分が航海するのに必要な部分だけわかれば十分なんだ。これが『悟性』と似ているんだよ。悟性も、私たちの理解力には限界があるけど、必要な部分を正確に把握することで、進むべき道を示してくれるんだ。」
生徒:
「なるほど。その例えだと、全部を理解しなくても大事なことを知るのが大切ってことですね。でも、やっぱり全部知りたいって思うのは自然じゃないですか?」
先生:
「その気持ちはすごく大事だよ。知りたいと思う気持ちは、学ぶ意欲の原動力だからね。ただ、ロックが言っているのは、『人間には知識の限界がある』ってことなんだ。その限界を無視して、何でもかんでも知ろうとすると、逆に迷ったり混乱したりすることもある。でも、好奇心が悪いわけじゃないよ。」
生徒:
「では、どうすればいいんでしょうか?」
先生:
「それはね、今の自分が理解できることを大事にすることが一番だと思う。自分の目の前にあることをしっかり深めて、それを積み重ねていくと、少しずつ知識の幅が広がっていくんだよ。ロックも、一歩一歩進むことが大事だと考えていたんだ。」
生徒:
「そっか。自分が今できることを大事にすればいいんですね。ちょっと前向きになれました!」
先生:
「そう、それでいいんだよ。悟性は完璧な力じゃないけど、私たちを導いてくれる灯りのようなものなんだ。だから、今できることをしっかりやりながら、一緒に理解を深めていこうね。」
生徒:
「ありがとうございます!頑張ります!」