【英語・英文法】bring と take の違い|「持っていく=take」と覚えた瞬間に英語は不自然になる理由

【英語・英文法】bring と take の違い|「持っていく=take」と覚えた瞬間に英語は不自然になる理由

English Grammar  /  Basic Verbs

「持っていく=take」
と覚えた瞬間に、
英語は間違いはじめる

bring と take ── 分けているのはモノではなく「カメラの位置」

多くの参考書は、こう教えます。bring は「持ってくる」、take は「持っていく」。

この対応表を信じてテストに臨むと、必ずどこかで足をすくわれます。たとえば友達の家のパーティーに行く場面。日本語では文句なしに「ビール持っていくね」ですが、英語のネイティブは I’ll bring some beer. と言います。訳語どおりなら take のはずなのに、です。

ここで起きているのは、単語の暗記ミスではありません。同じ出来事を、どこから撮るかという切り取り方の違いです。そしてこのカメラの位置がつかめると、bring と take だけでなく come と go まで、ひと続きに見通せるようになります。

— 一 —

日本語に欠けている一つの視点

日本語の「行く/来る」は、話し手のいる場所を基準に決まります。自分の側に近づけば「来る」、自分の側から遠ざかれば「行く」。自宅を「うちに来て」と言えるように、基準点は現在地に限らず自分の縄張りにも置けますが、その錨は必ず自分の側にあります

日本語に決定的に欠けているのは、聞き手の側に錨を打つ選択肢です。友人の家へ向かうとき、「いま、そちらに来ます」とは言えません。英語はこれができます。

JAPANESE

母「ごはんよ!」

子「いま行く!」

ENGLISH

Mom: “Dinner’s ready!”

Kid: “I’m coming!”

日本語は自分の部屋にカメラを置くので「行く」。英語は母親のいる食卓にカメラを移せるので come。日本語話者が英語で取りこぼす場面の多くは、この一つの選択肢の有無から生まれています。

日本語は話し手側にカメラを置く。英語はそれに加えて、聞き手側にも置ける

— 二 —

bring は到着点から、take は出発点から

モノの移動には、必ず出発点と到着点があります。同じ移動でも、どちら側にカメラを置いて語るかで、選ばれる動詞が変わります。これが二語を分ける本体です。

動詞カメラの位置前景化されるもの

bring

到着点

そこへ届く・そこに現れる

take

出発点

そこから持ち出す・連れ出す

そして、カメラの位置を見抜く有力な手がかりが come と go です。come が使える状況なら到着点側、go が使える状況なら出発点側に、話し手の意識が寄っています。まずはこの補助線から入るのが実戦的です。

I’m coming to your party. I’ll bring some beer.

相手の家を到着点として描いている。ビールもそこへ「届く」ものとして語られます。

I’m going out now. I’ll take an umbrella.

家を出発点として描いている。傘もそこから「持ち出す」ものとして語られます。

補助線は公式ではない

ここで一つ、覚えておくべき例があります。次の文は完全に自然です。

I’m going to the party. I’ll bring some wine.

go と bring が同居しています。矛盾ではありません。自分の移動は自宅からの外出として、ワインは会場への到着物として、一文の中でカメラが二度置き直されているだけです。come と go は手がかりであって、機械的な連動装置ではない。ここを理解しているかどうかが、上級者との分かれ目になります。

bring は到着点から見る。take は出発点から見る。come と go は、その位置を見抜くための手がかり。

— 三 —

カメラを置ける三つの場所

では、bring が選ばれる「到着点」とは具体的にどこか。実際の会話では、次の三種類に整理できます。

到着点①  話し手のいる場所

Can you bring me the remote?

リモコンが自分のところへ届く。日本語の「持ってくる」と一致するため、日本人にとって唯一まったく迷わないパターンです。

到着点②  聞き手のいる場所

I’ll bring some pizza to your place.

日本語では「持っていく」なので take と言いたくなる場面です。ここが第一章で見た、日本語にない選択肢が効いてくるところ。

take が誤りというわけではありません。I’ll take some pizza over to your place. も成立します。ただし焦点は「自分の側から持ち出す」に移り、相手の家に届く絵は後景に退きます。

bring は到着点を前に出すぶん、結果として「あなたのところへ届けます」という寄り添った響きを感じさせることがあります。

到着点③  会話の中心にある場所

I’ll bring my laptop to the meeting.

Please bring your passport to the interview.

どちらも、話し手がその場にいるとは限りません。二つ目の文を言うのは、面接会場に行かない事務担当者かもしれない。それでも bring が自然です。

理由は、会議も面接も話し手と聞き手が頭の中ですでにそこに集まっている場所だから。物理的な人の配置ではなく、会話の中心がどこに据えられているかで決まります。三つのうちもっとも高度で、入試や英検で狙われるのもここです。

逆に、話し手が現在地からの搬出そのものを語りたいときは take になります。I have to take my son to the hospital.(息子を病院に連れていく)が典型で、ここで前に出ているのは「いまいる場所から連れ出す」という自分側の動きです。

注意したいのは、これが「病院に誰もいないから take」ではないこと。仮に聞き手が病院で待っていても I’ll take him to the hospital now. は普通に言えます。誰がどこにいるかではなく、出来事のどちら側を語りたいかが決め手です。

— 四 —

take のもうひとつの顔「つかむ」

take には、方向とは無関係に見える用法が大量にあります。Take a seat. I’ll take it. take a picture. take medicine. It takes time. ばらばらに見えますが、語源をたどると一本の線が見えてきます。

take はもともと英語本来の語ではなく、古ノルド語の taka(つかむ・握る)が起源です。ヴァイキングの入植を通じて英語に入り込み、それまで使われていた本来語 niman を押しのけて定着しました。歴史的な出発点にあるのは「移動」ではなく「手でつかんで自分の側に取り込む」という感覚です。

Take a seat.

席を自分のものとして押さえる = 座る

I’ll take it.

それを手に取る = これにします/買います

take medicine

薬を体内に取り込む = 薬を飲む

It takes an hour.

一時間を取っていく = 一時間かかる

take out the trash

ゴミをつかんで外へ引き剥がす = ゴミを出す

ただし、語源は現代語の使用ルールではありません。英語話者が It takes an hour. と言うたびに「一時間を奪われる」と感じているわけでもない。長い時間の中で意味は枝分かれし、慣用として固まります。ここでの「つかむ」は、ばらばらに見える用法を一本の紐で束ねるための記憶の道具として使ってください。

— 五 —

bring は結果をもたらす

到着点を前景化する bring は、抽象的な文脈では「もたらす」という意味に発展します。何かがこちら側に届いて、結果として状況が生まれる。長文読解で頻出する用法です。

Spring brings flowers.

春が花をもたらす

What brought you to Japan?

何があなたを日本へ連れてきたのか = 来日のきっかけは?

bring about a change

変化を引き起こす

be brought up in Kyoto

京都で育てられる = 一人前の状態へ連れてこられる

もちろん、すべての take が「奪う」と訳せるわけではありません。選ぶ、引き受ける、必要とする——奪う感覚では説明しきれない用法もあります。それを踏まえたうえで、二語の手触りを対照的に捉えるなら、こうなります。

take は奪う。bring はもたらす。カメラの位置の話が、そのまま結果の話になっています。

— 六 —

答えが一つに決まらない文

ここまで読んで「では常にどちらか一方に決まるのか」と思われたかもしれません。決まりません。カメラの位置を指定する手がかりが文中にないとき、両方が等しく成立します。次の一文を見てください。

When Emily went to see her friend in London last year, she (    ) some traditional Japanese sweets as a souvenir.

took

日本からの持ち出しを描く。エミリーがお菓子を携えて出発した、という絵になります。

brought

ロンドンへの到着を描く。友人のもとにお菓子が届いた、という絵になります。

どちらも自然な英語です。片方を「特殊な語り」として切り捨てる根拠はありません。この文だけでは、話し手がどちら側から語っているかを決められないからです。

この形の四択問題が単独で出題されていたら、責められるべきは受験生ではなく問題のほうです。

裏を返せば、まともに作られた問題には必ず手がかりが埋め込まれています。発話者は誰か。here か there か。come が使われていないか。設問が問うているのは正しい単語ではなく、出題者がカメラをどこに据えたかです。探すべきものが分かっていれば、上級問題ほど根拠が明快に見つかります。

— 七 —

carry と fetch を加えた四動詞マップ

選択肢問題では、bring と take のほかに carry や fetch が並ぶことがあります。この四語は「カメラの位置を指定するか」「片道か往復か」の二軸で整理できます。

動詞ふるまい

carry

支えて運ぶ動作そのもの。carry the box upstairs のように方向を表す句と併用できますが、carry 自体は話し手への接近も離脱も指定しません。She always carries an umbrella.(いつも傘を持ち歩いている)

bring

到着点にカメラを置く片道。そこへ届くことが前に出ます。

take

出発点にカメラを置く片道。そこから持ち出すことが前に出ます。

fetch

その場を離れ、対象を取りに行き、必要な地点へ連れ戻す往復運動。Fetch me a chair.(椅子を取ってきて)/I’ll fetch the doctor.(医者を呼んでくる)

カメラの位置を指定するか否か、片道か往復か。この二つの問いだけで四語は区別できます。

— 八 —

実戦問題 三題と発展一題

第一問  /  標準(日常会話・TOEIC)

あなたは自宅から、オフィスにいる同僚に電話をかけています。

A: “Are you coming to the office today?”

B: “Yes. I’ll (    ) the signed contract with me.”

(A) bring   /   (B) take   /   (C) fetch   /   (D) keep

第二問  /  中級(高校入試・大学入試)

Mother: “It’s going to rain this afternoon. Don’t forget to (    ) your umbrella with you when you leave.”

Son: “Okay, Mom. Thanks.”

(A) bring   /   (B) take   /   (C) drop   /   (D) fetch

第三問  /  上級(英検準一級・難関大)

エミリーは明日、ロンドンに住む友人ケイトを訪ねます。出発前夜、ケイトから電話がかかってきました。

Kate: “I can’t wait to see you! By the way, could you (    ) some Japanese sweets when you come? Everyone here wants to try them.”

Emily: “Of course. I’ll pick some up tomorrow morning.”

(A) take   /   (B) bring   /   (C) fetch   /   (D) drop

発展問題  /  記述(記事の核心を測る)

次の二文は、どちらも正しい英語です。何が違うのかを説明しなさい。

① She took some wine to the party.

② She brought some wine to the party.

— 解答と解説 —

第一問  正解 (A) bring

決め手は A の発言にある coming です。この一語が、二人がオフィスを到着点として会話していることを示しています。契約書もそこへ「届く」ものとして語るのが自然な流れです。

(B) take ── 自宅からの持ち出しに焦点が移り、coming で作られた到着点の視点と噛み合いません。

(C) fetch ── 「取りに行って戻る」往復の動作。契約書はすでに手元にあります。

(D) keep ── 「持ち続ける・保管する」。オフィスへ届ける意味になりません。

第二問  正解 (B) take

決め手は when you leave。家を出発点として語っている場面であり、傘もそこから持ち出すものとして描かれます。take … with you は「携えて出かける」の定型です。

(A) bring ── 到着点が話題に出ておらず、出発の場面には合いません。

(C) drop ── 「落とす/立ち寄る」。文脈に合いません。

(D) fetch ── 取りに行って戻る往復。外出時に携帯する意味は出ません。

第三問  正解 (B) bring

話しているのはロンドンにいるケイトです。when you comeEveryone here、二重の手がかりがカメラをロンドンに固定しています。お菓子はそこへ届くものとして語られます。

同じ出来事でも、日本にいるエミリー自身が語れば I’ll take some Japanese sweets. となる場面です。誰が語っているかで選ぶ語が反転する——ここが上級問題の勘所です。

(A) take ── エミリーのセリフなら成立しますが、ケイトの発話では視点が合いません。

(C) fetch ── 往復の動作。旅程の依頼には合いません。

(D) drop ── 「落とす/立ち寄る」。依頼の意味になりません。

発展問題  解答例

どちらも「彼女はワインを持ってパーティーに行った」という同じ出来事を指しますが、カメラの位置が違います。

took は出発点から見ています。彼女が自宅なり店なりからワインを携えて出かけた、という持ち出しの動きが前に出る。語り手はパーティー会場の外側にいる立場です。

brought は到着点から見ています。会場にワインが届いた、という結果が前に出る。語り手はその場にいたか、少なくとも会場側に身を置いて語っています。

「パーティーで何を飲んだ?」への返答なら ②、「彼女は手ぶらで行ったの?」への返答なら ① が自然に響きます。どちらが正しいかではなく、その会話がどこで交わされているかで決まります。

bring と take は、中学一年生で習う単語です。それでいて、英検準一級の受験生でも取りこぼす。理由ははっきりしています。この二語が問うているのは語彙力ではなく、その文がどこから語られているかを読む力だからです。

そしてこの力は、代名詞の指示関係にも、時制の一致にも、長文の主張把握にも、そのまま効いてきます。単語帳の訳語を増やすより、一語の背後にある視点を見抜く訓練のほうが、結局は遠くまで運んでくれます。

いま手元の問題集を開いて、bring か take が出てくる一文を探してみてください。その文のカメラは、出発点と到着点のどちらに置かれていますか。

YBA教育研究会

YBA教育研究会は1975年の創業以来、世田谷区・経堂で指導を続けてきた個別指導塾です。現在は、完全1対1の授業を行っています。

東大・京大・一橋大・東京科学大・阪大出身の講師をはじめ、大学教授、大手予備校講師、英検1級保持者が在籍。小学生から大学受験生まで、一人ひとりの理解の段差に合わせて指導しています。

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