【英語・英文法】強調構文と形式主語の見分け方|「It is と that を消す」裏ワザが模試で全滅する理由

【英語・英文法】強調構文と形式主語の見分け方|「It is と that を消す」裏ワザが模試で全滅する理由

English Grammar  /  Cleft Sentences

It is ~ that は、
まず「穴」を見る

強調構文と形式主語 ── そして、穴を見ても終わらない最後の罠

高校生〜受験生|難易度 ★★★★☆

よく紹介される裏ワザがあります。

「It is と that を指で隠して、残った日本語がキレイに合体すれば強調構文」。

手軽ですし、実際かなり当たります。

ただし、この方法は次の一文で行き詰まります。

It is the news that our team won the game.

私たちのチームが勝ったというのが、そのニュースだ。

隠すと the news(そのニュース)と our team won the game(私たちのチームが勝った)が残ります。
「私たちのチームが勝った、そのニュース」── 日本語としては、繋がってしまいます。
しかしこれは強調構文ではありません。

原因ははっきりしています。日本語の語感で英語の構造を判定しているから。
日本語はかなり融通が利くので、名詞と文をただ並べるだけで「なんとなく意味が通る」ことがあります。
これでは判定基準になりません。

見るべきは日本語ではなく、that の後ろに「穴」が空いているかどうかです。
なぜ穴を見れば分かるのか、まず仕組みから始めます。

ただし先に言っておきます。「穴があれば100%強調構文」というほど、英語は甘くありません。
穴を見た先に、もう一つ罠があります。それは第4章で。

01

強調構文は、文から1つ抜き取って前に出しただけ

強調構文は、新しい文型ではありません。もともと完成していた1つの文から、目立たせたい部分を
引き抜いて、It is と that のあいだに置き直しただけです。

元の文

Tom met Mary in the park.

Tom を引き抜いて前に出す

It was Tom that (   ) met Mary in the park.

ここが決定的です。Tom を抜いたのだから、元あった場所は空っぽになります
that の後ろを見ると、met の主語がいない。これが「穴」です。

抜くのが目的語でも、同じことが起きます。

It is this book that I have been looking for (   ).

for の後ろが空いている。私が探していたのは、この本だ。

◆ 穴は「ルール」ではなく「結果」。
  前に出した分、後ろが1つ足りなくなります。名詞を強調した強調構文には、必ず穴があります。

02

形式主語は、長い主語を後ろに送っただけ

一方の形式主語は、成り立ちからして別物です。こちらは何も抜いていません
頭でっかちな主語を、丸ごと後ろへ引っ越しさせただけです。

元の文(主語が長すぎる)

That Tom met Mary is true.

It を身代わりに立てて、中身を後ろへ

It is true that Tom met Mary.

that の後ろは Tom met Mary ── 主語も動詞も目的語も揃っています。
引っ越しただけなので、当然どこも欠けていない。穴がないのが形式主語の側の特徴です。

03

3ステップ判定 ── 順番を守ることが命

実戦では、いきなり穴を探してはいけません。It is と that に挟まれた語の品詞を先に見ます。
この順番を飛ばすと誤判定します。

STEP 1

挟まれているのが副詞(句・節)か? → 強調構文

in the park / yesterday / because he was ill など。
形式主語の It is の直後に副詞が来ることはない。ここは考える必要すらない。

STEP 2

挟まれているのが形容詞か? → 形式主語

important / clear / strange / likely など。
形容詞を It is ~ that で強調することは、入試レベルでは考えなくてよい。

STEP 3

挟まれているのが名詞のときだけ、that の後ろに穴を探す

穴がない → 強調構文ではない(ここで打ち切ってよい)
穴がある → 強調構文の可能性。ただし、まだ確定しない

なぜ順番が命なのか。It was in the park that Tom met Mary. を見てください。
that の後ろは Tom met Mary で、穴がありません。それでもこれは強調構文です。
副詞はもともと無くても文が成立するので、副詞を抜いても穴が見えない

つまり「穴」は万能の物差しではありません。穴を探すのは、挟まれているのが名詞のときだけ
ここを取り違えると、副詞の強調構文をすべて形式主語と誤読することになります。
そして訳が真逆になります。

さて、STEP 3 の「穴がある → まだ確定しない」。ここが本題です。

ここから上級編

高1・共通テストレベルまでなら、ここで読み終えて構いません。

第3章までの3ステップで、出題の大半は処理できます。
以下は難関大の下線部和訳・内容説明で差がつく領域です。
いま消化しきれなくても、第3章に戻れば損はしません。

04

穴があっても、まだ終わらない ──
もう一人、穴を空ける犯人がいる

この文を、3ステップで処理してみてください。

It is the book that I bought yesterday.

the book は名詞。that の後ろは I bought (  ) yesterday で、bought の目的語がない。
穴あり。よって強調構文 ──「私が昨日買ったのは、その本だ」。

正しい。ただし、もう一つの読み方も正しいのです。

It is [ the book [ that I bought yesterday ] ].

it = 普通の「それ」/ the book = 補語/ that ~ = book を修飾する関係代名詞節
訳:それは、私が昨日買った本だ。

なぜこうなるか。関係代名詞の that も、後ろに穴を空けるからです。
I bought this book yesterday. から this book を先行詞として抜き出せば、やはり bought の後ろは空になります。
穴を空ける犯人は、強調構文だけではなかった。

では、どう見分けるか。決め手は that ではなく、先頭の it です。

◆ it を this / that に置き換えて、自然か?

強調構文の it は、何も指していない空っぽの it。だから「それ」には置き換えられません。
ただし、これは片道の検査です。壊れたら確定、通っても何も分かりません。

That was Tom that broke the window. 崩壊する → 強調構文で確定
That is the book that I bought yesterday. 成立する → 両方の読みが可能

この検査が確実に壊れるのは、強調されているのが固有名詞や代名詞のとき(Tom、me、my father など)。
関係代名詞で限定する必要がない語だからです。逆に the ~ / a ~ の普通名詞なら、
たいてい検査を通ってしまいます。通過は無罪証明ではありません。

両方成立してしまう場合、構造だけでは決まりません。最後は文脈が決めます
前の文に本の話が出ていて it がそれを受けているなら、普通の be 動詞の文。
「どの本を買ったの?」への答えなら、強調構文です。

◆ ここで慌てないこと。
 「私が昨日買ったのはその本だ」と「それは私が昨日買った本だ」は、述べている中身が同じです。
 違うのは、どこに光を当てているかだけ。和訳で大きく崩れることはありません。
 ただし、下線部の内容説明や内容一致では焦点そのものが問われることがあるので、前後は必ず確認します。

05

It is ~ that の顔は、じつは4つある

整理します。同じ見た目の裏に、成り立ちの違う4つが同居しています。

① 強調構文

It was Tom that I met.

it は空っぽ/that の後ろに穴/訳は「…なのは〜だ」

② 形式主語

It is obvious that he lied.

it = that 以下の身代わり/穴なし/訳は「〜ということは…だ」

③ 普通の it + 名詞 + 同格の that

It is the news that our team won the game.

that 以下が news の中身/穴なし/the fact that ~、the idea that ~ の仲間

④ 普通の it + 名詞 + 関係代名詞の that

It is the book that I bought yesterday.

that 以下が book を修飾/穴あり/①と見分けがつかないことがある

冒頭の news の文が、ここでようやく片づきます。名詞+穴なし、なので③。
日本語で繋がるかどうかは、一度も使っていません。

では、②形式主語と③同格はどう切り分けるか。基準は一つです。
名詞と that 節を、ひとつの名詞のカタマリとして文の別の場所に置けるか。

I heard the news that our team won. カタマリで動く → ③ 同格
I heard a pity that you cannot come. 動かせない → ② 形式主語

同格の that を後ろに取れる名詞は、fact / news / idea / rumor / belief / hope / evidence など「中身を持てる名詞」に限られます。
a pity、a shame、a mystery のような評価の名詞は取れません。だから②になります。
迷ったら、この顔ぶれを思い出せば足ります。

とはいえ、実戦で神経を使うべきなのは①か、①以外かです。
②③④はどれも「〜ということは…だ/…という〜」の系統で、訳の型が大きくは変わらない。
訳文がガラリと変わるのは①だけだからです。

06

入試で出る3つの変化形

① not until 型

It was not until I lost her that I knew her value.

彼女を失って初めて、その価値がわかった。
not until I lost her は副詞のカタマリ。STEP 1 で即決。「〜して初めて…」と訳すのが定番です。

② 疑問詞の強調

What was it that he wanted?

彼がほしがっていたのは、いったい何だったのか。
It was ~ that の「~」に疑問詞が入り、文頭へ飛び出した形。was it の語順に見覚えを作っておくこと。

③ 前に出せるもの・出せないもの

前に出せるのは名詞と副詞。名詞なら主語・目的語だけでなく補語も出せます
(It was a doctor that he eventually became. ── became の補語が抜けている)。
出せないのは動詞と形容詞。動詞を強調したいときは do / does / did を使います(I did see him.)。

07

実戦チェック 6問

答えを見る前に、3ステップを声に出して回してください。
「副詞か? 形容詞か? 名詞なら穴は?」── この3秒が本番で効きます。

Q1

It was because he was ill that he stayed home.

Q2

It is a pity that you cannot come to the party.

Q3

It was the window that Tom broke.

Q4

It is clear that she knows the truth.

Q5

It is the news that our team won the game.

Q6 ── 最難関

It was the letter that she wrote to him.

▼ ▼ ▼

Q1 ── 強調構文

because 節は副詞のカタマリ。STEP 1 で即決。that 以下が完全に見えても関係ありません。
訳:彼が家にいたのは、病気だったからだ。

Q2 ── 強調構文ではない(形式主語)

a pity は名詞なので STEP 3 へ。you cannot come to the party は完全で穴なし。
訳:あなたがパーティーに来られないのは残念だ。

Q3 ── 強調構文

the window は名詞。Tom broke (  ) で目的語が欠けている。穴あり。
the window は普通名詞なので、it → that の検査は通ってしまいます(通過は無罪証明ではない)。
前文に窓の話が出ていなければ、強調構文で読みます。
訳:トムが割ったのは、その窓だった。

Q4 ── 強調構文ではない(形式主語)

clear は形容詞。STEP 2 で即決、穴を探す必要すらありません。
訳:彼女が真実を知っていることは明らかだ。

Q5 ── 強調構文ではない(同格の that)

the news は名詞なので STEP 3。our team won the game は S・V・O 完備で穴なし。
冒頭の文です。日本語で「私たちのチームが勝った、そのニュース」と繋がって見えても、
穴がない時点で強調構文の目は消えています。
訳:私たちのチームが勝ったというのが、そのニュースだ。

Q6 ── この文だけでは決まらない

the letter は名詞。she wrote (  ) to him で目的語が欠けている。穴あり。
しかしこれは第4章の型です。
強調構文なら「彼女が彼に書いたのは、その手紙だった」。
普通の it + 関係詞なら「それは、彼女が彼に書いた手紙だった」。
it を that に替えても That was the letter ~ は自然に成立するので、構造では決着しません。
前の文で「それ」が何かを指しているかどうかで判断します。

まとめ

挟まれた語判定訳の型
副詞(句・節)強調構文…なのは〜だ
形容詞形式主語〜ということは…だ
名詞+穴なし強調構文ではない
(形式主語/同格)
〜ということは…だ
…という〜
名詞+穴あり強調構文
(関係代名詞の線も確認)
…なのは〜だ
/それは〜する◯◯だ

日本語をこね回さない。まず挟まれた語を見る。

副詞なら強調構文。形容詞なら形式主語。名詞なら、that の後ろの穴を見る。

日本語の「なんとなく」より、英語の「1個足りない」のほうが信用できます。

YBA教育研究会

1975年創立|世田谷・経堂の完全1対1個別指導
小田急線沿線・小学生から大学受験まで
東大・京大・一橋大・東京科学大・阪大出身講師、大学教授、大手予備校講師が指導

YBA教育研究会では、各教科の学習を、単なる暗記や作業ではなく、「なぜそうなるのか」を考えるところから指導しています。

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