2026年8月14日
なぜ 2x = 6 は「2で割る」のに、 |
覚えるルールは0個。「xの前を1にする」だけです。
文字の前に数字があるのは同じなのに、片方は割り算で、片方は掛け算。ここで「ルールが2つある」と感じて、テストのたびにどちらだったか思い出そうとする——そういう人はとても多いです。
覚えるべきルールは、2つでも1つでもなく、0個です。 正確に言えば、「整数なら割る」「分数なら掛ける」といった場合分けの暗記が0個、ということです。問題の見た目ごとに別々のやり方を覚える必要は、まったくありません。 |
代わりに、考えることがたった一つあります。
THE ONLY QUESTION xの前を「1」にするには、 |
※この記事では分数を 1/3、2/5 のようにスラッシュで書きます。(1/3)x は「3分の1 かける x」の意味です。
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2x という式は、2 × x の掛け算記号を省略しただけのものです。だから 2x = 6 は、正確には
と書いてあります。ところが私たちが知りたいのは「x そのもの」であって、「2倍された x」ではありません。 そこで、2x を 1x に変えたい。2 を 1 にしたいわけです。2 ÷ 2 = 1 ですから、2で割ればよい。これで左辺は x だけになります。
ここが方程式の心臓部です。等号「=」は、左と右の値が等しいという意味です。その状態を頭の中で見るなら、天秤がいちばん分かりやすい。 左の皿に 2x、右の皿に 6 が載っていて、つり合っている。この状態で左の皿だけ半分にしたら、当然かたむきます。だから、左辺を2で割ったなら、右辺も2で割ります。
では、分数のときはどうでしょう。目標は変わりません。xの前の 1/3 を、1 にしたいだけです。1/3 × 3 = 1 ですから、両辺に3を掛けます。
2x = 6 のときと、頭の中でやっていることは1ミリも違いません。xの前を1にする——それだけです。
ここでもう一歩だけ深く見ます。「2で割る」という操作は、実は1/2 を掛けることと完全に同じです。2 × (1/2) = 1 だからです。 つまり 2x = 6 でも (1/3)x = 4 でも、やっているのは「掛け算」ただ一種類。行き先はどちらも「1」です。 ある数と掛けて 1 になる数のことを、逆数といいます。2 の逆数は 1/2、1/3 の逆数は 3、2/5 の逆数は 5/2 です。この言葉を手に入れると、方程式 ax = b の解き方は一行で言い切れます。
たとえば (2/5)x = 8 なら、2/5 の逆数 5/2 を両辺に掛けます。
左辺では 2/5 × 5/2 = 1 になっているだけです。「割るのか掛けるのか」という問い自体が、ここで消えます。 小数でも同じです。0.4x = 6 なら、0.4 = 2/5 なので逆数は 5/2。両辺に掛けて x = 15。整数・分数・小数で解き方が変わるのではなく、数の書き方が変わっているだけです。
(2/3)x = 8 を出すと、そこで手が止まる生徒がいます。「3を掛けるんだっけ、2で割るんだっけ」と考え込んでしまう。このとき「どうすればいいと思う?」と聞いても、たいてい止まったままです。 ところが、聞き方をこう変えると——
「3/2 を掛ける」と、自分で答えられることがあります。
だから私たちは授業で、「前の数字を消して」ではなく「xの前を1にしよう」と声をかけます。
2x = 6 から x = 6/2 へ。この移り変わりを「2を右に持っていくと割り算になる」と説明されることがあります。計算だけなら、それで答えは出ます。 しかし、数字が反対側へ引っ越したから割り算に変身したわけではありません。実際に起きているのは、両辺を2で割ったという操作だけです。 この違いは、後で必ず効いてきます。3x + 5 = 2x + 9 のように文字が両側にある式。あるいは高校で出てくる「両辺を x で割ってよいか」という判断——x が 0 かもしれないので、無条件には割れません。操作としてではなく手品として覚えた人は、こういう場面で足がすくみます。理由を持っている人は、そのまま進めます。
よく「xの前の数字を消す」と言います。しかし数字は消えていません。1x = x なので、1になった瞬間に書かなくてよくなっただけです。
ここまでの話には、一か所だけ手が届かない場所があります。0x = 5 のような式です。 0 を 1 にする数は存在しません。0 に何を掛けても 0 だからです。つまり0 だけが逆数を持たない——このことが、「0で割ってはいけない」という決まりにつながっています。 実際、0x = 5 は「0倍したら5になる数」を探していることになり、そんな x はありません(解なし)。逆に 0x = 0 なら、x はどんな数でも成り立ちます(解は無数)。 中学ではここまで問われませんが、高校で ax = b を「a ≠ 0 のとき」「a = 0 のとき」と場合分けする場面が必ず来ます。そのとき、この一段が効きます。 |
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確認してみる答えを出すことより、「何を1にするのか」を口に出せるかを確かめてください。
⑤で符号を落とした人は、係数を「2」だと見ています。xの前についているのは −2 です。マイナスも係数の一部——中1で非常によく見られるミスです。 一本の線でつながる2x = 6 だから割る、(1/3)x = 4 だから掛ける。別々に覚える必要はありません。どちらも、xの前の数と掛けて1になる数を、両辺に掛けているだけです。
この一本が通っていれば、整数でも分数でも小数でも負の数でも、解き方はすべてつながります。そしてこの考え方は、この先の連立方程式や高校の等式変形でも何度も登場します。 最後に、自分に聞いてみてください。
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解き方を増やすほど、数学は重くなります。 |
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