2026年8月4日
English Grammar / Superlatives
最上級の in と of は
「単数か複数か」では
決まらない
in the United States ── 複数形なのに、なぜ in なのか
| 中学生〜高校生 | | | 難易度 ★★★☆☆ |
多くの参考書は、こう教えます。
「うしろが単数なら in、複数なら of」と。
このルールで、確かに9割の問題は解けます。
けれども、次の一文の前で必ず止まります。
Harvard is the oldest university in the United States.
ハーバードはアメリカで最も古い大学だ。
the United States は、どう見ても複数形です。s がついています。
それなのに of ではなく in が使われている。ルール通りなら of のはずなのに。
これは例外ではありません。ルールの立て方が、そもそも逆なのです。
in が単数名詞を取ることが多いのは、「単数だから」ではない。もっと単純な理由があります。
本当の基準を押さえてしまえば、丸暗記も、例外リストの暗記もいりません。
しかもこの理解は、of my life、of all time、Of all people といった、
入試でも会話でも頻出の表現まで一気に説明してくれます。
| 01 |
of の正体は、one of the boys の of
先に of から片づけます。こちらのほうが正体がはっきりしているからです。
すでに知っているはずの形があります。one of the boys(少年たちのうちの1人)。
この of は「〜のうちの」という意味で、全体の中から一部を取り出す働きをしています。
文法用語では「部分の of」と呼びます。
one of the boys ── 少年たちのうちの「1人」
the tallest of the boys ── 少年たちのうちの「いちばん背が高い子」
構造が完全に同じです。取り出すものが「1人」か「最も背の高い1人」かの違いしかない。
最上級の of は、まったく新しい用法ではなく、one of 〜 とまるごと同じ of なのです。
そしてここから、うしろが複数形になる理由が自動的に出てきます。
一部を取り出すには、取り出せる中身が2つ以上なければならない。
one of the boy とは言えないのと同じ理由で、the tallest of the boy とも言えません。
◆ 複数形は「ルール」ではなく「結果」。
of が部分を取り出す前置詞である以上、うしろが複数になるのは必然です。
| 02 |
in が単数を取るのは、枠を示すから
では in はどうか。こちらも、実は特別なことは何もしていません。
in the box、in Tokyo と同じ、「〜の中で」と枠を示すただの in です。
ここでいう枠は、物理的な場所に限りません。
in my class(集団)、in science(分野)、in history(時代)、in ten years(期間)。
「この範囲の中で」と一括りにできるものは、すべて in の相手になります。
of が「顔ぶれから抜き出す」のに対して、in は抜き出しません。
枠を示して、その中でいちばんだと言うだけです。
the highest mountain in Japan は、日本という範囲の中でいちばん高い山の話であって、
日本を山の「メンバー表」として見ているわけではない。
そして、枠として示される名詞は、たいてい単数形です。Japan、the world、my class、history。
だから結果として、in のうしろには単数形が並ぶ。
順序が逆だったのです。「単数だから in」ではなく、「枠だから in、その枠がたまたま単数形」。
冒頭の一文に戻ります
the oldest university in the United States
the United States は形こそ複数形ですが、意味は「アメリカ合衆国」という1つの国です。
アメリカを構成するメンバーの中から抜き出しているのではなく、
アメリカ合衆国を一つの比較の枠として見ている。
だから in。形ではなく、中身で決まっています。
同じ理屈で、in the Alps(アルプス山中で)、in the last ten years(この10年で)も成立します。
複数形かどうかは、判断の材料になっていません。
| 03 |
見分ける問い ──「入れ物」か「メンバー表」か
実戦での判断は、うしろの語を見て次の一問を自分に投げるだけです。
入れ物として見ている in 国・地域・学校・クラス・会社・分野・時代・期間。 | メンバー表として見ている of the three、all、them。 |
ここでもう一つ、答案の精度を上げる注意点があります。
of のうしろには、「どの顔ぶれか」が特定された言い方が来る。
◎ of the three boys / of all the students
◎ of them / of my friends / of these books
必要なのは the という語そのものではなく、
切り出す前の全体が「どれのことか」決まっていることです。
the、all the、them、my、these ── どれも、聞き手の頭に特定の顔ぶれを浮かべさせる形になっています。
of three boys のように、どの3人かわからない言い方が落ち着かないのは、そのためです。
of all(すべての中で)に the がないのも、例外ではありません。
all は、それ1語で「すべて」という範囲を示せるからです。
後ろに名詞を続けたいときは、of all the students のように the が戻ってきます。
| 04 |
入試で差がつく、3つの罠
罠 1 ── 単数形に見えるのに of
This is the happiest day of my life.
これは人生で最高に幸せな日だ。
my life は単数形です。それでも of。
ここで my life は「これまでの人生全体」を指していて、
その中の1日を切り出しているからです。
つまり部分の of は、複数のメンバーからだけでなく、
一つの大きな全体からも切り出せる。
the hottest day of the year(1年でいちばん暑い日)、
the greatest player of all time(史上最高の選手)も同じ形です。
期間や時代を、一つの全体として先に置いている。
罠 2 ── of the two には最上級を使わない
of の形が見えた瞬間に最上級を選ぶと、ここで落とされます。
比べる相手が2つのときは、最上級ではなく「the + 比較級」を使います。
| × He is the tallest of the two boys. |
| ◎ He is the taller of the two boys. |
英語では、2者を比べるときは比較級、3者以上なら最上級を使うのが原則です。
そして「2つのうちの上のほう」は1つに特定されるので、比較級なのに the がつきます。
罠 3 ── 家族は in か of か
He is the tallest in my family. が普通の言い方です。
家族を一つの枠として示している。
ここで of my family とすると、現代英語ではかなり不自然に響きます。
顔ぶれとして扱いたいなら、顔ぶれを言葉にする必要があるからです。
◎ the tallest of my three children(3人の子どものうちで)
◎ the tallest member of my family(家族の一員として)
季節も同じです。in winter は「冬という時期の中で」、
of the four seasons は「4つの季節という顔ぶれの中で」。
前置詞が、話し手の視点をそのまま映しています。
| 05 |
of だけができること ──「よりによって」
ここからは少し寄り道です。of の仕組みがわかると、
最上級を使わない Of all 〜 という表現まで、そのまま説明できてしまいます。
of には、候補をずらりと並べる力があります。
その性質がいちばんはっきり見えるのが、文頭に置かれた Of all 〜 です。
Of all places, why did you go there?
よりによって、なんでそこに行ったの。
Of all people, you should know better.
ほかの誰でもない君が、それをわかっていないでどうする。
理由は第1章そのままです。この of は「候補を並べてから1つを選ぶ」働きをしていました。
だから先頭に置くと、まず聞き手の頭の中に選択肢が広がる。
その全部を見渡したうえで「よりによってこれか」と落とすので、驚きや呆れが強く出ます。
in を先頭に置くこと自体はできます(In my family, my sister is the tallest. は普通の文です)。
ただし in all places と言い換えても、この「よりによって」の驚きは出ません。
枠を示すだけの in には、候補を並べる働きがないからです。
用法の違いに見えていたものが、同じ性質から出ていることがわかります。
| 06 |
in でも of でもない、第三の道
最後に、実は英語で最もよく使われる「範囲の示し方」を紹介します。
前置詞を使わない形です。
This is the best movie I have ever seen.
これは今まで見た中でいちばんいい映画だ。
範囲を担っているのは ever 1語ではなく、I have ever seen というまとまり全体です。
「今まで自分が見てきた映画」という範囲を、前置詞ではなく節で説明している。
in や of で名詞1語に押し込めない範囲は、こうして後ろから文で説明します。
最上級を書くときに考えることは、結局3つだけです。
in で枠を示すか、of で顔ぶれを示すか、それとも後ろに一文つけて説明するか。
この3択を持っておくと、英作文でも手が止まらなくなります。
| 07 |
確認問題
| (1) Mt. Fuji is the highest mountain ( in / of ) Japan. |
| (2) Ken is the tallest ( in / of ) the three boys. |
| (3) It was the coldest winter ( in / of ) the last ten years. |
| (4) She is the most popular singer ( in / of ) the Philippines. |
| (5) 誤りを直しなさい。 This is the best of the two answers. |
ANSWER
(1) in ── Japan は枠です。
(2) of ── the three boys は顔ぶれ。3人から1人を抜き出しています。
(3) in ── ここが差のつく1問。the last ten years は複数形ですが、
「この10年という期間の中で」と枠を示しているので in が自然です。
なお the hottest day of the year のように、期間をひとまとまりに名づけて of で受ける形もあります。
決め手は s の有無ではなく、枠として示しているか、顔ぶれとして切り出しているか。
(4) in ── the Philippines も the United States と同じ。
形は複数形でも、意味は1つの国です。
(5) the better of the two answers ── 2つなら「the + 比較級」。
of に引きずられて最上級にしないこと。
| 08 |
判断の早見表
| うしろにくる語 | 前置詞 | 考え方 |
| Japan / the world / my class / my family | in | 場所・組織という枠 |
| history / science / the last ten years | in | 時代・分野・期間という枠 |
| the United States / the Philippines / the Alps | in | 形は複数、中身は1つの場所 |
| the three / all the students / them / my friends | of | 顔ぶれから抜き出す |
| my life / the year / all time | of | 全体から一部を切り出す |
| the two | of | ただし最上級ではなく比較級 |
in と of の使い分けは、前置詞の問題に見えて、実は「話し手が世界をどう切り取っているか」の問題です。
枠として見ているのか、顔ぶれとして見ているのか。それだけが決めている。
「単数なら in、複数なら of」というルールは、覚えるのは速い。
けれども覚えた瞬間に、the United States の前で立ち止まることが決まってしまいます。
ルールは、その裏側にある理由まで届いて初めて、応用が利くようになる。
いま目の前にあるのは、入れ物だろうか、顔ぶれだろうか。
その一問だけで、もう迷いません。
YBA 教育研究会 1975年創立 / 完全1対1の個別指導 東大・京大・一橋大・東京科学大・阪大出身の講師、大学教授、大手予備校講師、英検1級取得者が指導にあたります。 小田急線 経堂駅 / 世田谷エリア |
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