2026年6月1日
YBA教育研究会 / 国語読解シリーズ
【なぜ評論文はあんなに難しい?】
国語評論の頻出テーマ「近代批判」
を読み解くコツ
「頑張って読んだのに、何が言いたいのかさっぱりわからない。」
国語の評論文が苦手な生徒に理由を聞くと、ほぼ必ずこの答えが返ってきます。難しく感じる大きな理由のひとつは、「誰もが当たり前だと思っていること」を筆者が疑ってくるからです。「科学技術は素晴らしい」「効率よく生きるのは正しい」——そういう”常識”を揺さぶってくるのが評論文の世界です。
今回は、中学・高校の評論文で非常によく扱われる「近代批判」というテーマを、難しい専門用語をできるだけ日常の例に置き換えながら解説します。この型を知っておくと、初めて読む評論文でも「あ、近いパターンかもしれない」と落ち着いて読み始めやすくなります。
| Section 01 そもそも「近代」とは何か |
「近代」と聞くと難しそうですが、評論文の文脈では「科学・理性・効率を重視して社会を発展させてきた時代」として押さえておきましょう。
スマートフォンを例に考えてみましょう。かつては手紙を書いて数日かけて届けていた情報が、今はボタンひとつで地球の裏側まで届きます。これは近代が進めてきた「科学技術と効率化」が極限まで発展した姿です。便利さという点では疑いなく人類の成果ですが、評論文の筆者はここに「待ってくれ」と声を上げます。
| キーワード | 評論文での意味 |
|---|---|
| 科学・技術 | 自然を分析・解明し、人間の生活を便利にする力 |
| 理性・合理主義 | 感情より論理、直感より計算を優先して物事を判断する考え方 |
| 効率・スピード | 無駄を省き、最短・最速で目的を達成することを最優先にする姿勢 |
| グローバル化 | 人・物・情報が国境を越えてつながる動き。その一方で地域・文化の固有性が薄まる面もある |
| Section 02 では、なぜ「批判」されるのか |
評論文の筆者は、近代の便利さを全否定しているわけではありません。問いかけているのは、「便利さを追い求めるうちに、人間として大切なものを失っていないか?」という点です。
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| Section 03 これさえ覚えれば勝てる「対比の構造」 |
評論文を読むときの大きなヒントは、「近代批判の文章では、対比を使って論を進めるものが非常に多い」と知っておくことです。筆者は「近代が重視してきた価値観」を批判しながら、「見落とされてきた大切なもの」を問い直そうとします。
⚠ 注意:単純な善悪の二分法ではない
多くの筆者は、近代の便利さや合理性をある程度認めたうえで、「その副作用や見落とされた価値を問い直す必要がある」という方向で論を展開します。近代を全否定しているのではなく、バランスの問い直しが主題です。
この対比パターンを頭に入れておくと、初めて読む文章でも「今この筆者は『理性』を問い直して『身体』の価値を取り上げようとしているな」と、構造が見えてきます。
| Criticized 近代が重視してきたもの | ⇄ | Reconsidered 筆者が見直そうとするもの |
|---|---|---|
| 頭脳・理性・論理 | ⇄ | 身体・五感・感覚 |
| 効率・スピード・タイパ | ⇄ | 無駄・ゆっくり・立ち止まること |
| グローバル・世界共通 | ⇄ | 地域・ローカル・固有の文化 |
| コントロール・管理・制御 | ⇄ | 思い通りにならない自然・偶然 |
| 記号・データ・デジタル | ⇄ | 意味・体験・生身の感情 |
| Section 04 筆者の結論パターンを読む |
ひとつ大切なことを確認しておきます。「近代批判」の筆者は、科学技術そのものを否定しているわけではありません。「スマホを捨てろ」「文明を捨てて山に帰れ」と言っているわけではない。
「近代批判」評論文でよく見られる結論パターン
「便利さ・効率・合理性を追い求めるのはよい。しかし、その過程で身体感覚・固有の文化・言葉にできない感情といった人間的な豊かさを失っていないか、立ち止まって考え直す必要がある。」
| Section 05 実際の読解に使える「目線のコツ」 |
ここまでの内容を踏まえると、評論文を読むときの「目線」が変わります。
▶ 読み始めたら最初に問いかける
「この筆者は、近代のどの価値観(理性・効率・グローバルなど)を批判しているのか?」
「そして、代わりに何(身体・無駄・地域文化など)を問い直そうとしているのか?」
この「対比の軸」が見えた瞬間、難解な評論文は一気に読みやすくなります。多くの場合、上のような対比のどこかに近い構造が隠れています。
試験本番では「この段落は近代を批判しているのか、それとも失われた価値を問い直しているのか」を意識しながら読む習慣をつけましょう。設問の選択肢が絞りやすくなります。もちろん、最終的には必ず本文の言葉に立ち戻って確認することが大切です。
Summary
「近代批判」攻略の3ポイント
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近代批判の筆者たちが問いかけているのは、結局のところ「どう生きるか」という根本的な問いです。便利さを手に入れた私たちは、その便利さと引き換えに何を失ってきたのか——そしてあなた自身は今日、どこかで立ち止まって考えたことがあるでしょうか。
評論文を読む力とは、単に試験で点を取る技術ではありません。筆者の問いを自分の問いとして受け取れるかどうか——その姿勢が、読解の深さを決めます。
YBA教育研究会
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