ド・モルガンの法則|なぜ記号が反転するのか?「鎖のイメージ」で一生忘れない本質講義

ド・モルガンの法則|なぜ記号が反転するのか?「鎖のイメージ」で一生忘れない本質講義

 

数学A | 集合と論理

ド・モルガンの法則とは?
集合と論理をつなぐ “反転” の公式

「〜でない」をひっくり返すと何が起こるか。
ド・モルガンの法則を理解すれば、集合も論理も一気にクリアになる。

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ド・モルガンの法則とは

ド・モルガンの法則(De Morgan’s laws)とは、19世紀のイギリスの数学者・論理学者オーガスタス・ド・モルガン(Augustus De Morgan)が体系化した、集合と論理に関する基本法則です。

Point

AかつB」の否定は「AでないまたはBでない」になり、
AまたはB」の否定は「AでなくかつBでない」になる、という法則です。

高校数学A「集合と命題」で必須の公式であり、情報科学・プログラミング・電気回路など幅広い分野でも使われます。

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集合でのド・モルガンの法則

公式(集合)

法則 ①

A ∩ B = AB

A∩Bの補集合
= Aの補集合 ∪ Bの補集合

法則 ②

A ∪ B = AB

A∪Bの補集合
= Aの補集合 ∩ Bの補集合

ベン図で確認しよう

🔵 色付き = 該当領域 ⬜ 白 = 該当しない領域

法則①:A ∩ B = AB

A
のみ
A∩B
(白)
B
のみ
+外側も青

A ∩ B

=
Ā
のみ
A∩B
(白)

のみ
+外側も青

AB(同じ!)

法則②:A ∪ B = AB

A
(白)
A∩B
(白)
B
(白)
外側のみ青

A ∪ B

=
A
(白)
A∩B
(白)
B
(白)
外側のみ青

AB(同じ!)

具体例で確かめる

例題

U = {1〜10}、A = {2,4,6,8,10}(偶数)、B = {3,6,9}(3の倍数)

A ∩ B = {6}

A ∩ B = {1,2,3,4,5,7,8,9,10}

A = {1,3,5,7,9} | B = {1,2,4,5,7,8,10}

AB = {1,2,3,4,5,7,8,9,10} ✓ 一致!

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論理でのド・モルガンの法則

集合の公式を「命題(命題論理)」の言葉に置き換えると、次のようになります。

公式(論理)

法則 ①

¬(p ∧ q) ≡ (¬p) ∨ (¬q)

「pかつq」の否定
=「pでない または qでない」

法則 ②

¬(p ∨ q) ≡ (¬p) ∧ (¬q)

「pまたはq」の否定
=「pでない かつ qでない」

集合 ↔ 論理の対応表

集合の言葉論理の言葉記号
積集合(A ∩ B)かつ(AND)p ∧ q
和集合(A ∪ B)または(OR)p ∨ q
補集合(Aでない(NOT)¬p

日本語の例

「彼は数学が好きで、かつ英語も好き」の否定は?

✗ 「彼は数学が好きでなく、かつ英語も好きでない」

✓ 「彼は数学が好きでない、または英語が好きでない」

「かつ」の否定は「または」に変わる点がポイントです。どちらか一方でも「好きでない」が成立すれば、元の文は否定されます。

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直感で覚えるコツ

🔄

「否定」で∩と∪が入れ替わる

補集合をとると∩と∪が必ず入れ替わる。これだけ!

「かつ」↔「または」の交換則

否定するたびに∧と∨が入れ替わる。

🧲

「分配」と逆のイメージ

否定を「中に入れる」と記号が反転する。分配則と対比して覚えよう。

語呂で覚えるなら

集合を取ったら、記号が逆になる
∩→∪、∪→∩、かつ→または、または→かつ

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入試によく出るパターン

📝 頻出パターン① 否定の構成

「x ≧ 1 かつ y ≧ 1」の否定を求めよ。

p:x ≧ 1 q:y ≧ 1 として…

¬(p ∧ q) = ¬p ∨ ¬q

∴「x < 1 または y < 1」 ←「かつ」が「または」に変化

📝 頻出パターン② 命題の対偶

「x=0 または y=0 ならば xy=0」の対偶は?

対偶:「xy≠0 ならば ¬(x=0 ∨ y=0)」

ド・モルガン適用:¬(x=0 ∨ y=0) = (x≠0) ∧ (y≠0)

∴「xy≠0 ならば x≠0 かつ y≠0」

📝 頻出パターン③ 集合の要素の個数

n(AB) を求める問題

ド・モルガンより:AB = A ∪ B

「Aにも属さず、Bにも属さない要素」の個数は、
n(U) − n(A ∪ B) として求められる。

《深掘り》なぜ「かつ」が「または」に変わるのか

ここが最大のつまずきポイント。まず「間違った直感」を見てほしい。

❓ 次の命題の否定は?

「今日は雨が降っていて、かつ風も強い

よくある間違い

「今日は雨が降っていなくて、かつ風も強くない

→「両方をひっくり返せばいい」という直感。これは誤り。

正しい答え

「今日は雨が降っていないまたは風が強くない

→ どちらか一方でも当てはまれば、元の文は否定される。

では、なぜ「または」になるのか?

かつ(AND)」は、両方が成り立つときだけ真になる、非常に厳しい条件です。逆に言えば、「かつ」を偽にする(否定する)には、どちらか一方が崩れれば十分です。

🔗「鎖」のイメージで考える

「雨が降っている かつ 風が強い」は、2つのリングがつながった鎖のようなもの。この鎖を切るには、どちらか1本のリングを外せばいい。

雨が降っている
風が強い

↓ 否定する(鎖を切る)
「雨が降っていない」または「風が強くない」
(どちらか一方が切れれば、鎖はバラバラになる)

もう1例:「または」を否定する場合

「彼は数学が得意、または英語が得意」の否定は?

「彼は数学が得意でない、または英語が得意でない」

「彼は数学が得意でない、かつ英語も得意でない」

「または」はどちらか一方でも成り立てば真。これを否定するには両方とも崩さないといけない。だから否定は「かつ」になる。

「かつ」は厳しい条件 → 崩すには一方だけで十分 → 否定は「または」
「または」はゆるい条件 → 崩すには両方崩す必要 → 否定は「かつ」

Summary

まとめ:ド・モルガンの法則

補集合をとると「∩」と「∪」が入れ替わる

論理では「かつ(∧)」の否定は「または(∨)」、「または(∨)」の否定は「かつ(∧)」

入試では「否定命題の作成」「対偶の構成」「n(AB)の計算」などで頻出

集合と論理の対応(∩↔∧、∪↔∨、補集合↔否定)を押さえれば両方に使える

YBA教育研究会 | 数学コラム